「着る」「脱ぐ」など(着脱の動詞について)

「着る」「はく」「脱ぐ」などの身につける動作、に取る動作について使われる動詞についてまとめました。

以外に複雑「着脱の動詞」

身につける動作は、上半身が「着る」、下半身が「はく」、取る動作はほとんどが「脱ぐ(ぬぐ)」が原則です。しかし「する」「つける」「かける」「かぶる」「はめる」等の身に付ける動詞、「とる」「はずす」などの取る動詞も必要です。
例えば英語では「wear」と「take off」でほとんどの着脱動作がカバーできるので、日本語はけっこう細かく言い分けているようです。

「着脱の動詞」まとめ

 以下にまとめます。

「着脱の動詞」まとめ

「着脱の動詞」まとめ

〔参考〕身体そのものの描写にはそうとう鈍感な日本語

 以上みたように身につける動作は細かく言い分ける日本語ですが、身体そのものの表現は大ざっぱということが、金田一春彦先生の「日本語 新版」(岩波新書)に書かれています。少し長くなりますが引用させていただきます。

「テ」と「アシ」

膝枕(ひざまくら)

膝枕(ひざまくら)

「hand(手)」も「arm(腕)」も日本人はテといい、foot(足)もleg(脚)も、日本人はアシという。往年の軍隊では、これは不便だというわけで「hand」をテ、「arm」をウデと区別していたが、ある時素人の教官が兵卒連に柔軟体操をやらせようとして、「手を上にあげ!」と号令したところ、予期したように腕を上にあげるものは一人もなく、一斉に指をそらして、釈迦如来よろしくのかっこうをしたという。

 日本では、足に関係してヒザもくせもので、脚の関節が曲がるところを普通「膝」と言っているが、「膝枕」などというときは、そんなゴリゴリしたところを枕にするわけがない。英語では「knee」ではなくて、「lap」である。

「クビ」

 漢字では「首」と「頸」と二つ言い分けるが、日本語ではくびれているところ、つまり「頸」をクビと言うと同時に、くびれたところから上全体、「首」にあたるところも「クビ」と言って区別しない。

「ノド」

 中国語では「咽喉」と「喉喉」の区別がある。「咽頭」というのは口を大きくあけたときに外から見えるところ。「喉喉」というのは声帯があって、声の出るところだ。日本人はその辺一帯を「ノド」と言って、細かく分けない。

「ヒゲ」

 「鬚」(beard)はあごひげ、「髭」(moustache)は口ひげ、「髯」(whiskers)は頬ひげ、中国語、英語では分けているのにすべて「ヒゲ」ですませてしまう。

(以上、金田一春彦 日本語新版から抜き書きしました。)

以上です。

 

 

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