みんなの日本語(初級1)第16課の重要ポイントについて解説します。
時系列で言う「継起」表現「~て、」「~てから」
- 本を読んで、音楽を聴いて 寝ます。
- 歯を磨いてから、寝ます。
「Aて、B」「Aてから、B」はともに「動作Aが終わった後にBをする」という風に、順に動作をすることを示しています。このような動作の表現を「継起」用法といいます。「~て、」でつなぐと三つぐらいの動作を言えるというような違いはありますが、基本的に「~て」「~てから」には大きな差はありません。
「~て、」と「~てから、」の違い
「~て」は「継起」以外に「付帯状況」など各種条件を表します。
- 歯を磨いて 寝ます。(継起)
- 歯を磨いてから 寝ます。(継起)
- ぬいぐるみを抱いて 寝ます。(付帯状況)
参考までに「~て、」の「継起」以外の用法を以下に示します。
- 目覚まし時計をかけて、寝ました。(継起)
- クマのぬいぐるみを抱いて、寝ました。(付帯状況)
- 寝る前、歯を磨いて、気持ちよかった。(理由・因果関係)
- タオルを使って、ナイトキャップを作りました。(手段)
- 私はベッドで寝て、お母さんは畳の上で寝ました。(並列)
(継起)以外の「~て、」は「~てから、」に書き換えることができません。「~て」は基本的に二つの動作・できごとが起こったことを表し、文脈によってさまざまな意味が生じると考えられます。
大阪は食べ物がおいしいです。〔象鼻文〕〔はが構文①〕
- 私は イタリア料理が 好きです。①〔第9課〕
- 大阪は 食べ物が おいしいです。②〔第13課〕
見かけは「~は~が…」でも、構文として全く異なることをまず理解してもらいましょう。①では「私は=好きです」の対象を「が格」で表しているのに対し、②は「大阪は=おいしい」わけではないということです。
この文は「象は鼻が長い」と同じ、いわゆる「象鼻文」です。第9課でも解説しましたが、再度こちらにも転記します。(以下の文では「食べ物」が「たこ焼き」に置き換わっています、あしからず)
「(大阪のたこ焼き)が おいしい」という形容詞文において、「大阪のたこ焼き」を主題化して「取り立て」ることで「(大阪のたこ焼き) は おいしい」となり、「大阪のたこ焼き」の中の「大阪」だけを取り立てた表現が「大阪はたこ焼きがおいしいです」となります。
「象は鼻が長い」など日本語の難文については以下の記事もご覧ください。
以下、その他の「はが構文」についても整理しておきましょう。
たこ焼き は わたし が 作ります〔はが構文 その2〕
「Y は X が V」型構文
「たこ焼きは私が作ります」「犯人は警察が探しています」というような文を「はが構文」の中の「YはXがV」型構文といいます。
- 私がたこ焼きを作ります。〔能動文〕に対し
- たこ焼きは私が作ります。〔目的語「たこ焼き」を主題化した〕
ということになります。
この例では目的語がモノで「たこ焼き」なので
- たこ焼きは私に作られた。
は不自然ですが、目的語が人の場合
- 伊達が富澤を殴った。〔能動文〕
- 富澤は伊達が殴った。〔目的語主題化文〕
- 富澤は伊達に殴られた。〔受身文〕
となり、この形、つまり「Y は X が V」の形が受身の意味を持つことがわかります。
「X は Y が V」型構文
話し言葉で名詞句Xの後に「YがV」という節が続く場合も「はが構文」の一つとなります。
このあたりになると中級レベルということになります。
イ形容詞、ナ形容詞、名詞の「て形」
- ミラーさんは 若くて、元気です。
- ミラーさんは28歳で、独身です。
学校文法から見ると、抵抗があるかもしれませんが、
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