まず問題をやりましょう
否定の接辞「不」「非」のいずれかを入れましょう。
- コロナ禍で( )自由な生活を強いられている。
- 一部の( )人道的な待遇は改善しなければならない。
- ソフトに( )具合が見つかった。
- 彼女は( )健康な生活をしている。
- この国では( )効率的な公共工事が数多く行われている。
(解答はこの記事の最後にあります)
「不」と「非」
本記事では「不」と「非」の違いについて考えます。
「不」と「非」の使用例
違いを確認するため「不」と「非」の使用例を列挙してみました。
不安定:安定ではない、不自由:自由ではない、不満:満足ではない、非効率的:効率的ではない、非礼:礼儀正しくない 等々、「不」も「非」も基本的には「~ではない」という意味を与えるようですね。
「不」と「非」のつく語の意味
同じく「~でない」という意味を与える「不」「非」ですが、実際に作られた語にどのような意味の違いがあるでしょうか。
「不」「非」どちらも「~でない」という意味を与える接辞なのですが、上に示す例を見ると「不」はそれがつく語を客観的に否定に変化させるだけであるのに対し、「非」のついたほとんどの語は「非」がつくことによって非効率的、非生産的のように「あるべき姿ではない」非人道的、非礼、非武装のように「道理・道徳にあっていない」という意味の語を作る傾向が強いという違いがあります。
「非」がついて良い意味の語も上の「非凡」や「非番」などけっこうあるようです。
「不合理」と「非合理」
「不」「非」共につく言葉があるので意味を確認しましょう。
- 不合理な業務上の手続きはすぐに改めなければならない。
- 社長のやり方は時に非合理的と思われたが、結局うまくいった。
「不」と「非」のつく語の文法
二語熟語につく場合は「不+形容詞」「非+名詞」が基本のようですね。ですから「不○○」は「な」がついて形容詞(イ形容詞)として使われるのに対し、「非○○」は「的」をつけて「形容詞化」し形容動詞(ナ形容詞)として使います。
「不利」「不調」「非情」「非礼」のように一文字に就いた場合は「不利な状況」「非凡な才能」のように一部、形容動詞(ナ形容詞)として使われますが、たいていは「名詞」となるようです。
(以上、中上級を教える人のための日本語文法ハンドブック スリーエーネットワーク社刊、などを参考にさせていただきました)
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