「今」っていつ?「いま」と「いまいま」

今

「今」=「現在」

10時10分10秒

10時10分10秒

 過去から未来へつながる時間の中の現在の1点が「現在」であり、「今」ですね。

  • 今、10時10分10秒です。

というような「この時」を示すのが「今」のはずです。ところが実際に使われる「今」にはずいぶん幅があります。

時間幅のある「今」

 例えば極端な例で「今は恐竜が走り回ってた時代じゃない」といえば、この「今」は地球上に人間が繁栄している数十万年単位の時間の長さを示しています。

今行く また「今では中国の主要都市には地下鉄が走っている」と言った時の「今」は十年~二十年ぐらいの期間を指すのではないでしょうか。

 またある程度の時間の長さの中で「今、帰りました」の「今」は「少し過去」、「今から行きます」の「今」は「近未来」を指し、過去・未来を指すこともできます。

「今」により表現可能な時間領域

「今」により表現可能な時間領域

「現在」に比べて「今」の意味領域は幅広く、「今」=「現在」+「現代」ぐらいのイメージでとらえておきましょう。

「今」と「いまいま」

 三省堂国語辞典第八版(22年1月発行)には新語として「いまいま」が採用されています。

いまいま:「今」の強調、ちょうど今、たった今、今すぐ
 「いまいま」「ほぼほぼ(極めて近い意)」などは最近になって会社用語として使われはじめたものだという印象があります。
  • いまいま は ほぼほぼ 問題ないですよね。

という風な使い方でしょうか。共に「今」と「ほぼ」を強調する言い方です。「いまいま」は「今」を強調する言い方ですので表す時間の長さも「比較的短い幅の現在」を表す文脈で使用されるようです。

畳語の意味について

 少し脱線します。「いまいま」「ほぼほぼ」といった語を重ねたものを「畳語(じょうご)」といいます。畳語には「キラキラ」「コンコン」のようなオノマトペ、家々、人々のような単に繰り返しを表すものがあります。

 つまり畳語には以下の三種類があるのです。

オノマトペキラキラ、トントン、ニコニコ、ごくごく(飲む)
繰り返し家々、人々、折々、先々
強調いまいま、ほぼほぼ、ごくごく(少数)

強調の畳語に関しては強調前の二音「いま」「ほぼ」「ごく」だけでも使用可能であることが、オノマトペとの違いになります。

  • いまいま は ほぼほぼ 問題ないです。→ 今はほぼ問題ないです。
  • 賛成者はまだごくごく少数です。→ 賛成者はまだごく少数です。

オノマトペの「ごくごく」とは違いますので注意しましょう。

  • 家に帰って麦茶をごくごく飲んだ。→ ×家に帰って麦茶をごく飲んだ。

以上、基礎日本語辞典 森田良行著 (角川書店)、「ほぼほぼ」「いまいま」おかしな日本語 野口恵子著(光文社新書)などを参考にさせていただきました。

 

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