「Yes、No」と「はい、いいえ」
例えばあなたが猫だとしましょう。”You are not a cat, are you?” と聞かれたら?
“Yes, I am a cat.” ですね。I=cat は positive(〇)という意味で”Yes”です。
では、日本語で「あなた、猫じゃないですよね。」と聞かれたら?
あなたは「いいえ、猫ですよ。」と答えなければなりません。これは「私が猫じゃない」と思っているあなたはnegative(×)という意味の「いいえ」なのです。
整理すると
肯定文には「Yes」、否定文には「No」をつける英語
単純です。これに対し日本語の「はい」「いいえ」は
相手に同意する時「はい」、同意しない時「いいえ」と言う日本語
ということができます。
つまり、先の例では「あなた、猫じゃないよね?」と聞く人はあなたを「猫じゃない」と思っているとわかります。その時、その通り私は猫じゃないなら「はい、私は猫じゃない」となり、猫ですということなら相手が間違っているので「いいえ、猫ですよ」ということになります。
「行きませんか?」と「行かないんですか?」
「行きませんか?」「行きましょう!」
初級の最初の方で「行きませんか?」という友だちをさそう(勧誘)表現を勉強します。
- 一緒にごはんを食べに行きませんか?
- いいですね、行きましょう。
でしたね。「はい」か「いいえ」で答えるなら、
- 一緒にごはんを食べにいきませんか?
- はい、行きましょう!
となるということは問題ないでしょう。しかしこれが「行かないんですか?」となると、
- ごはん、行かないんですか?
- いいえ、行きますよ。
と「いいえ」を使った方が自然になります。これは先ほどの原則でいうと「行かないんですか?」という問いかけは、あなたがごはんに行かないということを予想しているニュアンスがある。だからそうではいですよ(同意しない)という意味で「いいえ」で答えということになります。
「いいえ」が言いにくい日本人
「日本人はNOと言わない」とよく言われます。以上のことから見ると正確には「日本人は”いいえ”と言わない」と言った方がいいのです。
つまり、「No」と違って「いいえ」には単なる否定を示すだけでなく
「いいえ」→ あなたの考えに同意できません
という意味合いが感じさせてしまうからです。
ですから例えば「コーヒーを飲みませんか」と言われた場合、
「いいえ、私はコーヒーを飲むと夜眠れなくなるから飲みません。」
というよりも、
「はい、どうもありがとうございます。」と言ってから、「ただ、私はちょっと眠れなくなものですから…」
というように「いいえ」を使わずに断るというのが、日本人らしい断り方ということになるのです。
(以上、「日本語の特質」金田一春彦著 などを参考にさせていただきました)
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