「三密を避ける」と「銃弾を避けるネオ」
「三密を避ける」は日本のコロナ対策の合言葉。「さんみつをさける」と読みますね。
映画「マトリックス(matrix)」の有名なシーン、キヌア・リーブス演じるネオが銃弾をよけるシーンです。ここでは「さける」ではなく「よける」が自然です。
漢字で書けば共に「避ける」ですが、「さける」と「よける」、どんな違いがあるのでしょうか?
「さける」と「よける」の違い
「さける」は「近づかないようにする」、それに対して「よける」は近づいてもいいですが、「当たらないように進路や位置を変える」ことを表します。以下の図のようなイメージです。
コロナ対策の「三密」は人に近づかないこと(さける)ことが大切、マトリックスのネオは辛うじて弾丸を「よける」ことができたわけです。
典型的な例文をいくつかあげましょう。
- あやうく難を(〇さける/×よける)ことができた。
- 夏の暑い日差しを簾(すだれ)で(×さける/〇よける)。
- 朝のラッシュを(〇さけて/×よけて)出勤する。
- 不良品は(×さけて/〇よけて)おかなければならない。
「さける」のさまざまな使い方
「さける」は「近づかない」というシンプルな意味領域を持っていますので、応用範囲も広いのです。「密をさける」というのも一種の抽象概念的な言い回しと言えますし、「人目をさける」「暑さをさける」などといった準慣用的な言い方が多いのも「さける」の特徴です。
以上です。
「三密」スローガンポスター画像は真生印刷株式会社様のサンプルポスターを使用させていただきました。記事内容については「日本語の難問」宮腰賢(宝島社)などを参考にさせていただきました。
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