「学ぶ」と「習う」の違い
「学ぶ」と「習う」の違いについて調べましょう。英語の”study”と”learn”の違いに近いような気もしますね。
現代日本語の用法上の違いは比較的明瞭です。以下の2点をおさえておきましょう。
Ⅰ.能動的か受動的か?
「学ぶ」が自分から積極的に知識を得ようとする動作全般を指すのに対し、「習う」は原則的に指導者、先生がいてその人からやり方を教えてもらうことで成立します。
- 独学で日本語を学ぶ。
- 勝川先生に日本語を習う。
学ぶ | 能動的 | 知識・能力などを得るために、本などを見たり、先生に教わったり、実際にやってみたりする。 |
習う | 受動的 | 〔先生のすることをまねて〕やり方を教わる。 |
Ⅱ.広く身につけるか、特定の技能を身につけるか?
「学ぶ」が、どちらかと言えば「広く知識・技能を身につける」ことを指すのに対し、「習う」は「特定の技能を身につける」時によく使います。
- 京都大学で学びました。
- 小学校の頃、水泳を習っていました。
学ぶ | 総合的 | 広く知識・技能を身につける |
習う | 専門的 | 特定の技能を身につける |
「学ぶ」と「習う」の違い まとめ
以上まとめると以下のようになります。
学ぶ | 能動的 | 総合的 | 広い知識・総合的な能力などを得るために、本などを見たり、先生に教わったり、実際にやってみたりする。 |
習う | 受動的 | 専門的 | 特定の技能を身につけるために〔先生のすることをまねて〕やり方を教わること。 |
語源から見た「学ぶ」と「習う」
実はおもしろいことに、語源的に見ると上で見た「学ぶ」と「習う」の関係とは少しおもむきが変わります。つまり「学ぶ」の方が「まねぶ」つまり「真似をする」という言葉のもとになった言葉から来ているのです。
「習う」の方の語源はよくわからないものの、「並ぶ」「馴れる(慣れる)」などが元になった言葉ではないかと言われています。
「並ぶ」「馴れる」のどちらが源だとしても、「並ぶ」「馴れる」という行動は多少なりと「能動的」な響きがあるので、現代用法とは逆の意味領域に変化しているようですね。
また「習う」から学習の、意味を除き「先の例の真似をして、その通りにする」という意味になると「倣う」となるのも面白いですね。
- 先例に倣い式を挙行する。
- 「前に倣え!」
以上、新明解語源辞典(三省堂)、日本語の難問 宮腰賢著(宝島社)などを参考にさせていただきました。
コメント