【語源】着物由来の日本語

着物由来の日本語japanese

 着物に由来する言葉を集めてみました。

つじつま(辻褄)が合う

辻褄とは「ものごとの筋道」。「辻褄が合う」とは「食い違いがない」という意味です

 辻はもともと十字路を指すことばです。裁縫用語としての「辻」は縫い目が交差するところで交点はぴったり「+」の形に合っていることが大切だそうです。

 そして褄とは着物の端の部分(下図参照)。ぴったり合っていることが着物を着る時にはやはり重要です。

着物の褄

着物の褄

 着物を縫製する時に「辻」を合わせること、着物を着る時に「褄」を合わせることがとても大切なので、「辻褄が合うこと」が「ぴったりして食い違いがないこと」という意味になりました。

袂を分かつ(たもとをわかつ)

「袂を分かつ」とは「別れること」しかも、しばしば「劇的に分かれること」を指します
たもと 袂(たもと)とは、袖(そで)の先の部分(図の赤点で囲んだ部分)です。「袂を分かつ」の語源には諸説あるのですがそのうちの一つをご紹介します。
 かつて女性は結婚すると着物の袂の部分を切り落とし、袖を短くする習慣がありました。
 「袂を分かつ」はこの袖を短くすることなのですが、そのことがなぜ「別れ」を意味するかというと、結婚はつまり「親との別れ」を意味するからです。
 もともとは女性が結婚して嫁いでいくときの「親との別れ」を意味する言葉であったのが、一般的な「別れ」しかも「劇的な別れ」を意味するようになったようです。
袂を分かつ

袖の下(そでのした)

 「袖の下」は、ずばり「賄賂」のこと
袖の下を渡す

袖の下を渡す

 袖の下、つまり袂を含む袋状になった部分は、いろんなもの、特にお金を入れることができました。
 
 着物の構造上、袖の下に入れたお金は、外から見えないように受け渡しができるようになっています。
 
 そんなことから「袖の下を受け取る。」というような言い方をするようになったのですね。

袖にする

 同じ袖を使った表現でも、

「袖にする」は(人に)「冷たくする」こと
 着物を作る(仕立てる)ときには、はやり大きい部分の胴体部分の「見頃(みごろ)」が主要部分。それに対して「袖」は附属部分になる。
 本体に対する附属部分の位置づけであるのが「袖」です。そんなところから、軽く扱われるものという意味から転じて「冷淡に扱う」「冷たくする」ことを「袖にする」というようになりました。

左前(ひだりまえ) 

 左前は物事が(特に経済的に)順調にいかないこと
 着物を着る時は気をつけましょう。必ず向かって見て、右側の襟(えり)が上になるように着ましょう。これを右前といいます。
 
右前

右前

 この反対、つまり「左前」は死んだ人の着物(死装束)の着方なのです。「死」は不吉なので、「左前」が調子が悪くなるという意味になったのです。

お裾分け(おすそわけ)

「お裾分け」は自分がもらったものの一部を他の人にあげること

お裾分け 「裾(すそ)」はいちばん下の部分。着物だけでなく例えばスカートでもズボンでもいちばん下が「裾」。たとえば、ズボンの長さを調節することを「裾直し」といいます。

 端なので「主要なものではない末端の部分」というイメージから、大したものではありませんが…という謙虚な気持ちの表現として「お裾分け」という」ことばができました。

お裾分け

濡れ衣(ぬれぎぬ)

 「濡れ衣」とは「冤罪」のこと
 「濡れ衣」の語源については、わぐりたかしさんの「ぷらり日本全国「語源遺産」の旅」に詳しい。以下、この本の記載から記します。
 
 ついでですが、わぐりたかしさんの語源関連本はこの他にも「地団駄は島根で踏め」(光文社新書)などがあり、なかなか面白いです。

後妻に騙され、実の娘を冤罪で殺してしまう父の悲劇

近世と春姫

近世と春姫

 昔々、聖武天皇の時代(724~729年)の話。筑前(今の博多)の国司として、佐野近世が妻と一人娘・春姫を連れて京都から赴任した。

 しかし妻は早く亡くなったため、後妻として迎えた。ところが、後妻は連れ子の春姫が疎ましく思い、漁師に「春姫様が釣り衣を盗むので困っている」と近世に嘘を言わせる。

 加えてその証拠にと、近世に濡れた釣り衣を着て眠っている春姫の姿を見せる。

 近世は逆上してその場で春姫を切って捨ててしまう。

 一年後、近世の夢枕に無実を訴える春姫が現れ、自分の行動を悔いた近世は出家して石堂川の畔に濡衣塚を作る。

福岡にある「濡れ衣塚」

 福岡県庁の最寄り駅でもある地下鉄箱崎線「千代県庁口」駅から徒歩すぐ。大宰府から博多湾へ流れる御笠川(みかさがわ)の石堂橋のたもとにその「濡れ衣塚」がある。

濡れ衣塚

濡れ衣塚

 ここは一度、行ってみたいです。

 では今日はこの辺で。

 

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