着物に由来する言葉を集めてみました。
つじつま(辻褄)が合う
辻はもともと十字路を指すことばです。裁縫用語としての「辻」は縫い目が交差するところで交点はぴったり「+」の形に合っていることが大切だそうです。
そして褄とは着物の端の部分(下図参照)。ぴったり合っていることが着物を着る時にはやはり重要です。
着物を縫製する時に「辻」を合わせること、着物を着る時に「褄」を合わせることがとても大切なので、「辻褄が合うこと」が「ぴったりして食い違いがないこと」という意味になりました。
袂を分かつ(たもとをわかつ)
袖の下(そでのした)
袖にする
同じ袖を使った表現でも、
左前(ひだりまえ)
この反対、つまり「左前」は死んだ人の着物(死装束)の着方なのです。「死」は不吉なので、「左前」が調子が悪くなるという意味になったのです。
お裾分け(おすそわけ)
「お裾分け」は自分がもらったものの一部を他の人にあげること
「裾(すそ)」はいちばん下の部分。着物だけでなく例えばスカートでもズボンでもいちばん下が「裾」。たとえば、ズボンの長さを調節することを「裾直し」といいます。
端なので「主要なものではない末端の部分」というイメージから、大したものではありませんが…という謙虚な気持ちの表現として「お裾分け」という」ことばができました。
濡れ衣(ぬれぎぬ)
後妻に騙され、実の娘を冤罪で殺してしまう父の悲劇
昔々、聖武天皇の時代(724~729年)の話。筑前(今の博多)の国司として、佐野近世が妻と一人娘・春姫を連れて京都から赴任した。
しかし妻は早く亡くなったため、後妻として迎えた。ところが、後妻は連れ子の春姫が疎ましく思い、漁師に「春姫様が釣り衣を盗むので困っている」と近世に嘘を言わせる。
加えてその証拠にと、近世に濡れた釣り衣を着て眠っている春姫の姿を見せる。
近世は逆上してその場で春姫を切って捨ててしまう。
一年後、近世の夢枕に無実を訴える春姫が現れ、自分の行動を悔いた近世は出家して石堂川の畔に濡衣塚を作る。
福岡にある「濡れ衣塚」
福岡県庁の最寄り駅でもある地下鉄箱崎線「千代県庁口」駅から徒歩すぐ。大宰府から博多湾へ流れる御笠川(みかさがわ)の石堂橋のたもとにその「濡れ衣塚」がある。
ここは一度、行ってみたいです。
では今日はこの辺で。
コメント
着物の着方の 「右前」 について。
自分が着物を着るとき、「右衿側を 先に」 自分の胸に置き、次に 「左衿側を 後から」 自分の胸に置きます。
このとき、「右側を時間的に 先」 に行うことを 「右側を時間的に 前」 に行うという意味で、右前 となります。
この順を、自分を中心とした図で示すと、読者は間違わないと思います。
こちらのページの写真や絵では、右前の正しい写真や絵になっていると思います。
「左前」 の説明で、「着物を着る時は気をつけましょう。必ず向かって見て、右側の襟(えり)が上になるように着ましょう。これを右前といいます。」 とありますが、『右側の襟(えり)が上に』 の表現では、間違った着方の表現になると思います。