文章は接続詞で決まる!!

文章は接続詞で決まる

文章は接続詞で決まる!

 表題は石黒圭先生の本のタイトルです。石黒先生の本は、私のような半分素人のような日本語教師にもわかりやすく、ためになります。先生の本は直接、教案化できる内容も多く、日本語の先生の必読書ばかりです。

  今日は石黒先生の比較的新しい本、「文章は接続詞で決まる」(光文社新書)をご紹介します。

 日本語教育における接続詞の分類は、本によってさまざまなのです。この本の中では、接続詞は四種十類に分類されています。四種は「論理」「整理」「理解」「展開」の四種です。この四種に大きく分けた点が、シンプルで学習者にとてもわかりやすいと思っています。

 以下、順を追ってご説明します。

言語の線条性

 いきなり言語学の専門用語で恐縮ですが。「線条性(せんじょうせい)」とは言語の本質を示す言葉です。言葉は難しそうですが、要は「言葉というのは1本のレールの上を走る列車のように、後戻りすることができない一方通行の1本の線のようなもの。」ということです。

 言葉は、線となって同じ方向に進んでいくもので、決して並行しないということです。当たりまえのように思えるかもしれませんが、例えば「絵画」のように同時に全体を俯瞰できるものとの違いを考えれば、言葉がいかに「線条性」という制約のなかに閉じ込められたものかがわかりますね。

線条性について

線条性について

接続詞の本質

 言葉は「線条性」に縛られています。その呪縛をのがれるためにあるのが「接続詞」です。

一本の線のような構造体である言語が、重層的な内容を表すというアクロバットのような芸当をどのようにやってのけるのか。これを解明することが、言語学の一つの課題になります。

じつは、そのような芸当を可能にしている要素の一つが、接続詞の範囲を指定する機能です。

「文章は接続詞で決まる」 石黒圭 (光文社新書)

接続詞の範囲を指定する機能とは?

 「接続詞の範囲を指定する機能」とは?石黒先生はわかりやすく以下のように説明してくれます。

 たとえば接続詞「あるいは」なら前後の短い範囲を指定して結びつけます。

あるいは

 これに対して、「一方」で結ぶと、前後の指定範囲は広くなる感じがしますね。

一方

 また、「たとえば」で結ぶと後ろの比較的広い範囲の「例示」が続きます。

たとえば

 逆に、「ようするに」とまとめに入れば、前の広い範囲を後ろの狭い範囲の結論につなげる感じです。

ようするに

 このような観点で接続詞を捉えると、なるほど接続詞によって1本の線にすぎなかった文章が、「立体化」できるということがわかります。

文章を如何に立体化(重層化)するかという観点に立った接続詞の分類

四種十類の分類

  • 四分類とは
  • 「論理」の接続詞
  • 「整理」の接続詞
  • 「理解」の接続詞
  • 「展開」の接続詞

です。それぞれが前後の文章をどのようにつなぐかを図示して、表にしてみました。

接続詞の四種十類

接続詞分類表(四種十類)

 この分類法は、外国人が作文やスピーチをする時のよいガイドになってくれると、私は思っています。

22の接続詞の例文

 上表の22の接続詞の使い方を例文と共に覚えましょう!

接続詞中国語訳例文
だから所以踏切で事故があった。だから、学校に遅刻してしまった。
それなら那样的话山登りに行こうと思うんだけど。それなら、日本アルプスはどう?
しかし但是手紙を出した。しかし、返事は来なかった。
ところが但是(反予測)天気予報では雨だった。ところが、結局降らなかった。
そして还有(并列)今回の旅行ではスペイン、イタリアそしてフランスを回った。
それに还有部屋には財布とカギ、それに手帳が残されていた。
かつ且…これで議案提出に必要かつ十分な条件がそろった。
一方另一方面花子は残業した。一方、桃子は定時退社し遊びに行った。
または黒のペン、または鉛筆で書いてください。
第一に第一第一に、第二に、第三に…(時間的順序性のないもの)
最初に第一最初に、続いて、その後…(時間的順序性のあるもの)
まず首先まず、つぎに、さらに…(上記どちらも使用可)
つまり换言之彼は母の弟、つまり私の叔父である。
むしろ倒不如说じゃまするつもりはない。むしろ、協力したいのだ。
たとえば比如飲み物なら、たとえばコーヒー、紅茶などがあります。
とくに特别日本の夏は暑い。とくに、京都の夏は格別だ。
なぜなら因为原発に反対です。なぜなら危険だからです。
ただし不过1時間千円です。ただし午前中は半額です。
さて(转话题)さて、話は変わりますが…
では那么では、本題に入りましょう。
このように如此このように、私たちは勝利したのです。
とにかく反正うまくいくかどうかわかりませんが、とにかくやってみます。
以上です。
 

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