京杭大運河に臨む中国最長の石橋「蘇州宝帯橋」

宝帯橋キャッチ

蘇州の市街からは少し離れた場所、京杭大運河と蘇州城の小さな運河が交錯する場所に、あまり観光客の訪れない宝帯橋という石橋があります。

おおよその場所まで路線バスで行き、ホコリだらけの工事現場を通り抜け、歩くこと約1時間。本当にこんな所にあるのかなと不安になったその時、古い崩れかけの白壁の前に石の案内板がありました。

宝帯橋前の石碑案内板

宝帯橋前の案内板、右に見えるのは京杭大運河

石碑の横の案内板にはこうあります。

宝带桥始建于816至819年,由苏州刺史王仲舒主持修筑。因形似宝带而得名。桥全长317米,面宽4.1米,53孔薄墩连拱,是我国古代桥梁营造技艺的杰出典范。
最初の宝帯橋は816年から819年にかけて蘇州の官吏王仲舒によって架けられた。その形状が宝帯に似ているため宝帯橋と名づけられた。全長317メートル、幅4.1メートル。53の小さなアーチ橋が連なって形成された橋であり、我が国の古代架橋技術の模範ともいうべき石橋である。
唐時代の州知事みたいな人が作った橋のようです。
そして、白壁の向こう側は。
宝帯橋全景

突如目の前に現れた美しい宝帯橋

何ともいい風情です。
 
そして橋の上を歩き始めると、細く平らな道がまっすぐに遠くまで見えます。大運河を通り過ぎる大きな船、小さな船を眺めながら、まるで水面を歩いているような贅沢な散歩が楽しめます。
 
宝帯橋前から

宝帯橋(正面から)

以下、司馬遼太郎さんの「街道をゆく」中国・江南のみち、から補足すると、形状が宝帯に似ているという説もあるのでしょうが、王仲舒が自分の官服の玉帯(たぶんとても高価なんでしょう)を売って、そのお金でこの橋を架けたという故事もあるそうです。
さらに、今では絶好の散歩コースである低く平らな橋の上の道は、かつてはここに何人もの人が並び、運河の流れに逆らって船を引くためにこのような形になっているとのこと。

司馬遼太郎さんがこの場所を訪れたのは1981年。もう40年近く昔のことです。さすがに帆船が浮かんでいるということはありませんが、司馬さんが感じたものが、確実に肌に伝わってくるような素晴らしい場所でした。

 この運河の十字路にはたえず船がやってきては、去ってゆく。牽引の発動機船をのぞいて、ほとんど昔からの型の船で、雀色の帆にかすかな風をうけてゆるやかにゆくものもあれば、重い櫓をゆらゆらと動かしてやってくるものもある。

 背後の近代的な橋を見ずに、水と船と対岸の緑の湿地帯をながめているかぎり、唐朝の世に居るような駘蕩とした気分がひろがってくる。

司馬老太郎「街道をゆく 中国・江南のみち」 より

(2017年4月24日)

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