読解「庭」渡辺武信Ⅴ

東福寺石庭

前回( →こちら )の続きです。

 ぼくはこの落葉樹の恩恵を自分の家で年々実感しつづけている。両親の家の庭先に南北に細長く建っているわが家は南端がほとんど敷地境界に接し、その面に庭を持たないのだが、さいわい隣地は公園で、その落葉樹の木立ちが調整効果をもたらしてくれる。夏はうっそうと茂る葉が室内を緑の反映でほの暗く満たし、冬は枯れ枝を透かしてくる低い陽射しが奥まで差しこんで、晴れた日の昼過ぎまでは暖房も要らないほど暖かい。

 ここまで記してきたように、庭に四季の反映を強く求め、それを「眺める」ことに庭の最大の意義を見出すのは、どうも日本人特有の庭園観であるようだ。いかに私的に囲われていようと、また人の手が加えられていようと、日本人が庭に求めるのは自然のミニチュアであり、その自然志向は石を山に、砂を水に見立てた枯山水のような屈折した操作を含む庭まで一貫している。これは結局、自然を克服すべき対象としてではなく、親和的な環境としてとらえる日本的自然観に由来するもので、むろんぼくの雑木林好みもその影響下にあると言えるだろう。

『住まい方の演出』中央公論社

夏はうっそうと茂る葉が室内を緑の反映でほの暗く満たし、…

「ほのか」と「かすか」

「ほのか」は、やさしく、ぼんやりして、心地よい感じ

「ほのか」と「かすか」

見わたす、見出す、見立てる…

 前段もふくめ「見○○」タイプの複合動詞が多くみられます。「見○○」のさまざまな慣用表現をまとめて覚えましょう。穴埋め式です。

見○○穴埋め

上左から順に、見開く、見入る、見つめる、見かける、見出す、見通す、見届ける、見落とす、見失う、見逃す、見違える、見合う、見合わせる、見送る、見わたす、見晴らす、見積もる、見計らう、見下す(みくだす&みおろす)、見くびる、見限る

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