「~にせよ」「~ものなら」「~ようものなら」「~ないことには」「~を抜きしては」〔N2文法〕

「にせよ」「ものなら」「ようものなら」「ないことには」
たとえそうでも(逆接条件)、もしそうなら(仮定条件)
「~にせよ」「~ものなら」「~ようものなら」「~ないことには」「~を抜きしては」などの条件を導く言葉を覚えましょう。

「庭」渡辺武信 日語総合教程第五冊から

 第五課「庭」冒頭です。

 外の対象に投げかけることによって結果的に治癒する感情の波というものは、たいてい、とりたてて深刻なものとは限らぬにせよ、当の本人にとっては他人に知られずに秘めておきたい、高度にプライベートのものである。

 「にせよ」は、治癒する感情の波はあまり深刻なものではない、ということであったもやはり、気分的には他人には知られたくないということを示します。つまり「深刻なことは、知られたくない」そして「深刻ではない」ことでも、やはり知られたくない、という気持ちを表します。前件の仮定条件に関わらず、あるいは影響されず後件が成り立つという意味で「逆接条件」といいます。

・雨が降ったら、出かけません。〔仮定条件〕
・雨が降っても、出かけます。〔逆接条件〕

「仮定条件」と「逆接条件」

 中級の「仮定条件」と「逆接条件」として以下のようなものがあります。

仮定条件逆接条件

~としたら
~とすれば
~とすると
~となったら
~となれば
~となると

~としても
~にしても
~にしろ
~にせよ
~たところで
~ようと・ようが

・無人島に何か一つ持っていけるとしたら、何を持っていきますか。
・もし、あの飛行機に乗っていたとすれば、今頃もうこの世にいなかった。
・彼が犯人でないとすると、真犯人は誰なんだ。
・税金が上がるとなれば、国民生活はますます圧迫されるだろう。
・引っ越すとなると、かなりお金がかかる。
・親元を離れるとしても、できるだけ近くにいたい。
・準備がなかったにしても、もう少しまともな報告書を書いてほしい。
・たとえ悪い結果にしろ、全力でやってきたので悔いはない。
・何をするにせよ、心を込めて取り組みたい。
・どんなに急いだところで、もう間に合いっこない。
・どんなに批判されようと、私は平気だ。

いろいろな仮定条件

 同じ「仮定条件」でも、上記の「~としたら」「~とすれば」…のように「~と仮定した場合、~する、~なる」のような単純なもの以外に、主観を含むもの、ひねった言い方などさまざまです。ひとつずつ例文とともに理解しましょう。

「~ものなら」「~(よ)うものなら」「~ないことには」「~を抜きにしては」

「ものなら」「ないことには」「を抜きにしては」などまとめ

問題

問題です。(    )内に入れるのに適当なものを選んでください。

(1)わざとではない(    )、大事なものを壊されたんですから怒るのは当たり前です。
  1.とすれば     2.としたら     3.にしても 
(2)この会社に入っていなかった(    )、今頃は何をしていただろうか。
    1.としたら     2.となると     3.にせよ 
(3)いい小説を書いて、将来は(    )文学賞をとりたい。
    1.とれるにせよ     2.とれるものなら  3.とろうものなら
(4)心身ともに健康でない(    )、責任ある仕事はできない。
    1.ことには       2.ものなら     3.にしろ
(5)大きい地震が(    )、こんな家はたちまち倒壊してしまうだろう。
    1.起こらないことには   2.起こるとなったら 3.起ころうものなら
(6)(    )、商品は売れないのである。
  1.サービスがないにせよ  2.サービスを抜きにしては
    3.サービスがないものなら
(7)(    )ものなら月へ行ってみたい。
  1.行ける         2.行く         3.行こう
(8)今回も試験に失敗しようものなら(    )。
  1.来年も受験しよう    2.来年は合格すると思う  3.人生真っ暗だ
(9)(    )を抜きにして、街の活性化は望めない。
  1.自然災害        2.観光事業       3.土地の値上がり
(10)(    )にしても、今年の夏は暑かった。
  1.昨年ほどではない    2.昨年よりひどい    3.過去最高だった

(1)3.(2)1.(3)2.(4)1.(5)3.(6)2.(7)1.(8)3.(9)2.(10)1

以上、新完全マスター「文法」日本語能力試験N2(スリーエーネットワーク社)などを参考にしました。

 

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