「~において」「~にわたって」「~にかけて」「~て以来」〔N2文法〕

「おいて」「わたって」「かけて」「以来」
時、場、領域の表示

「~において」「~にわたって」「梅原猛~にかけて」「~て以来」などの表現について学びましょう。

「日常の思想」梅原猛 から

 日語総合教程第五冊では「~において」が次のように登場します。

もとより人類は、今までこのような価値観に徹底したのは明治以後であると思う。徳川時代においては労働と同時に遊びの価値を評価する視点がまだあった。
P62 第3課「日常の思想」梅原猛

「~において」は場所、時代、領域などを表しますが、ここでは「時代(江戸時代)」を表しています。

問題

 問題です。正しい方を選んでください。

  1. 東京から名古屋( まで・にかけて )地震がありました。
  2. インターネット( における・ にわたる )マナーが問題になっている。
  3. 大統領は明日から8か国( にわたって・ にかけて )訪問し、来週帰国する。
  4. バロック音楽とは17世紀から18世紀のヨーロッパ( にわたって・において )作られた音楽である。
  5. 今の会社に入社( において・して以来 )、一度も仕事を休んだことはない。
  6. 吉田さんは全科目( にわたって・にかけて )優秀な成績をとっている。
  7. 先月、40年( にわたって・にわたる )働いた会社を定年退職した。
  8. フォークソングは60年代から70年代に( にわたって・にかけて )流行した。
  9. 2か月ぐらい前に風邪を( 引いて・引き )以来、ずっと体調が悪い。

1.にかけて、2.における、3.にわたって、4.において、5.して以来、6.にわたって、7.にわたって、8.にかけて、9.引いて

「~において」「~においては」「~においても」「~における」

特定の「場所」だけでなく特定の「時代」、特定の「領域」も表します。
・2028年のオリンピックはアメリカのロサンゼルスにおいて行われます。〔場所〕
・インターネットは20世紀における最大の発明である。〔時代〕
・21世紀は医学においても著しい進歩があるはずだ。〔分野〕
・このカメラは少し値段は高いが、使いやすさにおいては群を抜いている。〔領域〕

「~にわたって」「~にわたり」「~にわたる」

期間、回数、場所、分野などの「全範囲・広がり」を表します。
・マーケット調査は10か月にわたって行われた。
・マーケット調査は10回にわたって行われた。
・台風のため、広い範囲にわたって大雨が降るでしょう。
・彼は経済や教育など多くの分野にわたり本を書いている。

「わたって(渡って)」と「かけて(架けて)」

「わたって」は「渡って」:その「過程すべて」が大切
「かけて」は「架けて」:「どこからどこ」が大切

・台風のため、広い範囲にわたって雨がふるでしょう。
・台風のため、大阪から名古屋にかけて大雨が降るでしょう。
橋を渡るのは、渡っている途中が大事

橋を渡るのは、渡っている途中が大事

「~にかけて」「~から~にかけて」

時間、期間、場所などの範囲を表す。前述のように「どこ(始点)からどこ(終点)」の始点・終点を意識した言い方になります。
・今朝、名古屋から静岡にかけて弱い地震があった。
・彼は小さい頃、肩から腰にかけて火傷をした。
・夜半から明け方にかけて、広範囲にわたって雨がふるかもしれません。
橋を架けるのはどこにかけるのかが大事

橋を架けるのは、どこに架けるのかが大事

また、「~から~まで」が「はっきりした範囲」を示すのに対し、「~から~にかけて」はだいたいの範囲、時間、期間を示します。
・大阪万博は2025年4月13日から10月13日に開催された。
・学生運動は60年代から70年代にかけて盛んであった。

「~て以来」「~以来」

「~てから今までずっと」:過去のある時点から何かが継続していることを表します。
・あの映画を見て以来、映画関係の仕事につきたいと思うようになった。
・一昨年、年賀状をもらって以来、彼からは何の連絡もない。
・卒業以来、大学には行っていない。
 

以上、日本語能力試験対策N2文法総まとめ(三修社)などを参考にまとめました。

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