「思い~」タイプの言葉

「思い~」

「思いつく」「思い出す」「思いのたけ」などの「思い+アルファ」タイプの言葉について整理します。

日語総合教程第五冊から

 中国の日本語学科3年次の標準テキスト『日語総合教程第五冊』前半部の新出単語から「思い」を含むものを引用します。

船に乗って、海を思いのたけ味わいたいという気持ちは、いっこうに衰えなかった。
第一課『生きて愛するために』辻邦生
思い余った農民たちは、九月二十六日の夜明け前、蓑笠と新しいわらじに身を固め、渡良瀬川中流の渡良瀬村にある雲龍寺の境内に集まった。
第二課『田中正造』上 笙一郎
また蓋を開けると鍋の中には、すずきが三匹じゅうじゅうと焼けていました。アイは真っ青な秋の海を思い浮かべました。アイは自分達のために命を捨ててくれた三匹の魚にそっと手を合わせました。
第五課『木の葉の魚』安房直子
立ち止まって、長い間、桜を見つめ、「桜と対話するなんていうのは、こちらの思い過ごしだろうな」とつぶやいた。
第七課『紅山桜』辰濃和男
本冊にはその他、「思い屈する」(第十課)、「思い切り」「思いやり」(第十二課)などが登場します。

問題

まずは問題です。(     )内に入れるのに適当なものを選んでください。

1.~4.から適当なものを選び、変化させてこたえてください。
(1)昨夜覚えたはずの単語を本番のテストでは、どうしても(    )なかった。
  1.思いつく    2.思い出せ    3.思い残す     4.思い返す
(2)あまり(    )ると、身体に悪いので気をつけよう。
  1.思い巡らす   2.思い余る    3.思い詰める  4.思い込む
(3)自分だけで判断できず(    )て、上司と相談した。
  1.思い込む    2.思い余る    3.思い過ぎ   4.思い出す
(4)(    )だら、一筋に頑張るのが男の生きる道だね。
  1.思い詰める   2.思いつく    3.思い余る  4.思い込む
(5)そんなブラックな会社なら(    )て、やめてしまったらどう?
  1.思い切る        2.思いのほか   3.思い返す    4.思い巡らす
(6)ふと面白いアイデアを(    )た。
  1.思い出す    2.思い返す    3.思い分かる 4.思いつく
(7)相手に(    )を打ち明けた。
  1.思いの内    2.思いのたけ   3.思いのわけ   4.思いの存分
(8)やりたいことは全てやりました。もう(    )ことはありません。
  1.思い残す    2.思い余る    3.思い返す    4.思い足す
(9)駅スグと聞いたが(    )遠かった。
  1.思い越え    2.思いのほか   3.思った通り   4.思いのあまり
(10)平凡な人生でしたが(    )といろいろなことがありました。
  1.思いつく    2.思い残す    3.思い返す      4.思い出す
(11)定年後のことを(    )と楽しみで仕方ない。
  1.思い回る    2.思いつく    3.思い込む    4.思い巡らす

解答:(1)2.思い出せ、(2)3.思い詰める、(3)2.思い余っ、(4)4.思い込ん、(5)1.思い切っ、(6)4.思いつい、(7)2.思いのたけ、(8)1.思い残す、(9)2.思いのほか、(10)3.思い返す、(11)4.思い巡らす

 いかがでしょう。以下に概念図を示しながら整理します。まとめて覚えましょう。

「思い出す」「思いつく」「思い浮かぶ」

1「思い出す」「思いつく」「思い浮かぶ」

「思い出す」は記憶の引き出しから過去のできごとを取り出すこと。「思いつく」はそれまでなかったものをひらめくこと。「思い浮かぶ」は自然に頭の中に浮き上がってくるものです。
  • 昨日覚えたはずの単語を思い出せなくてテストに失敗した。
  • ノーベル賞級のアイデアを夢の中で思いついたが、どうしても思い出せない。
  • 思い浮かぶままを文章にしてみました。

「思い残す」と「思いのほか」

2「思い残す」と「思いのほか」

「思い残す」は全てを網羅できず未練として残ること。「思いの外」は考えと違っていること、想定外のこと。
  • 皆さんのおかげで思い残すことなく、母国に帰ることができます。
  • たいして準備しなかったが、思いの外、良い点が取れた。

「思い巡らす」と「思い込む」

3「思い巡らす」「思いこむ」

「思い巡らす」は、あれこれ考える、つまりじっくりと考えること。「思い込む」は良い悪い、正しい正しくないは別にして、自分が信じていちずに心をうちこむこと。
  • 定年後のことに思い巡らすと楽しみで仕方のない人が多い。
  • 彼はいったん思い込んだら、困難があっても最後までやり遂げる人だ。

「思い返す」の二つの意味

4「思い返す」の二つの意味

「思い返す」は「①過去のことを振り返る」と「②考えを改める」の二つの意味で使われます。
  • 思い返すとぞっとする。
  • 思い返してあきらめる。

「思いのたけ」「思い詰める」「思い余る」

5「思いのたけ」「思い詰める」「思い余る」

「思いのたけ」は「思いのすべて」、「思い詰める」は「そのことだけに集中して深く思い悩むこと」、「思い余る」は「一人で思い詰めても、考えがまとまらなくなる」ことです。
  • 思いのたけを言葉にして手紙に託す。
  • あまり思い詰めると体に良くないよ。
  • 思い余って両親に打ち明ける。
以上、日語総合教程第五冊(上海外語教育出版社)、明鏡国語辞典第三版(大修館書店)などを参考にしました。
 

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