「~てみる」「~てみると」「~てみれば」「~てみたら」

「てみる」「てみると」「てみれば」「てみたら」

「~てみる」「~てみると」「~てみれば」「~てみたら」について考察します。

「~てみる」

もとは「動詞て形+見る」、「動作をして観察する」ということから「Ⅰ.ある行為を試しにやる」という意味になります。「見る」は文法化していて「みる」と表記します。
「~てみたい」の形になると「Ⅱ.控えめな願望」を表します。

Ⅰ.ある行為を試しにやる「~てみる」

  • ①私が作ったケーキです。食べてみてください。
  • ②この服を着てみてもいいですか。

 「試しに」というニュアンスがあるので、以下の④は間違いになります。

  • ③ 私が作ったケーキです。ちょっと食べてみてください。
  • ④ ✕ 私が作ったケーキです。たくさん食べてみてください。
  • ⑤ 私が作った料理です。ちょっと食べてください。
  • ⑥ 私が作った料理です。たくさん食べてください。

食べてみて、行ってみたい

Ⅱ.控えめな表現「~てみたい」

  • ピカソの「ゲルニカ」を見たい。
  • ピカソの「ゲルニカ」を見てみたいものだ。
  • 一度、アメリカに行きたい。
  • 一度、アメリカに行ってみたい。

 この場合は「試しに」「少し」ということではなく、「できれば希望がかなうといいのだが…」という控えめな願望表現になります。

「~てみると」「~てみれば」「~てみたら」

「~てみると」「~てみると」「~てみたら」、前件は話し手の「予想」を想起させる

 「~てみると」「~てみれば」「~てみたら」は、前件後件の間に継起関係があるだけでなく、話し手が事前に何らかの予測を持っている場合に使われます。

前件に予測が含まれる時使いやすい「~てみると」「~てみれば」「~てみたら」

  • 天気予報は晴れだったが、今日に(なってみると/なってみれば/なってみたら)雨だった。
  • 天気予報は晴れだった。今日に(なってみると/なってみれば/なってみたら)、果たして快晴だった。

上の例では「晴れの天気予報」を聞いて話者は「晴れ」の結果を予想しています。その予想に対して結果は?という感覚で「雨/晴れ」いずれの結果であっても、「でみると」「てみれば」「てみたら」でつなぐのが自然です。

前件に予測が含まれる時使いにくい「~と」「~ば」「~たら」

  • △天気予報は晴れだったが、今日に(なると/なれば/なったら)雨だった。
  • △天気予報は晴れだった。今日に(なると/なれば/なったら)、快晴だった。

先の例から「~てみる」を抜いた「~なると」「~なれば」「~たら」でつなぐと、間違いとは言えませんが少し違和感があります。

 特に、話し手の予測が強く、後件の結果が予想に反する結果であった場合は「~てみると」「~てみれば」「~てみたら」という言い方のほうがなじみます。

  • ✕彼女だけは合格だと信じていたが、終わると 彼女だけが不合格だった。
  • 〇彼女だけは合格だと信じていたが、終わっ(てみると/てみれば/てみたら) 彼女だけが不合格だった。
  • △彼女だけは合格だと信じていた。終わったら 彼女だけが合格だった。
  • 〇彼女だけは合格だと信じていた。終わっ(てみると/てみれば/てみたら) 彼女だけが不合格だった。

以上、初級を教えるための日本語文法ハンドブック、中上級を教えるための日本語文法ハンドブック (共にスリーエーネットワーク社刊)を参考にしました。

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