みんなの日本語(初級1)第30課の重要ポイントについて解説します。
第30課の文型
- 交番に町の地図が貼ってあります。
- 旅行の前にインターネットでいといろ調べておきます。
「~てあります」「~ておきます」は、どちらも未来のために準備されていることを表しますが、「~てあります」は「目的のために残す行為」、「~ておきます」は「目的のために準備する行為」を表します。
「~てある」と「~ておく」
- ドアが開けてある。
- ドアを開けておく。
上の2つの文もよく似ています。同じ点と相違点に分けて考えましょう。
「~てある」「~ておく」の同じ点
過去に行われた「誰かがドアを開ける」という結果を、未来の目的のために今のこしておく
という点では同じです。
「~てある」「~ておく」の相違点
- ① 次に使う人のために開けてあるよ。
- ② 次に使う人のために開けておくよ。
「開けてある」の方は未来の目的のために行った「開ける」という動作の結果が今も残っているということに力点が置かれます。
つまり「過去の開けた動作」よりその結果が残存し「今開いている状態」であることが重要です。
これに対し「開けておく」の方は「目的のためにドアを開けるという行為をした(準備行為)」ということに表現の力点が置かれています。
次に使う人のために開けてあるよ | 結果残存 |
次に使う人のために開けておくよ | 準備 |
「~に~が~てあります」「~は~に~てあります」
- 机の上にメモが置いてあります。
- 今月の予定はカレンダーに書いてあります。
第30課では「~に~が~てあります」「~は~に~てあります」を分けて導入することになっています。(練習A1.2.)意味は違いますが第10課で「います・あります」を導入した時と文型的には類似しています。
第10課 | 第30課 |
あそこに 電話が あります。 | 壁に 絵が かけてあります。 |
ミラーさんの うちは 大阪に あります。 | ごみ箱は 部屋のすみに おいてあります。 |
このあたりの文型の類似を指摘しておいてもいいかもしれません。
ただ、第10課以降、とりたて助詞「は」の昨日については習得しているはずですから、以下のような表現も例示、違いを確認してもよいでしょう。
- 机の上にメモが置いてあります。〔新情報の「が」〕
- 「メモはどこ?」「メモは 机の上に 置いてあります。」〔旧情報の「は」〕
並列助詞「や」と「とか」
- 「水や 食べ物ですか。」
- 「他にもいろいろありますよ。懐中電灯とか、ラジオとか……。」
例示の「とか」は第30課で初出になります。「や」の口語という説明でよいと思いますが、用法として「とか」は最後の例示にもつけられる、ことに注意です。
- 〇 水や非常食です。
- ✕ 水や非常食やです。
- 〇 水や非常食などです。
- 〇 水とか非常食です。
- 〇 水とか非常食とかです
- 〇 水とか非常食などです。
以上です。
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みんなの日本語(初級1)第29課 教案Tips
第29課では、自動詞/他動詞ペアのある動詞を主に扱いますが、教える側は「無対自動詞」「無対他動詞」「自他動詞」についてもよく認識した上で授業にのぞみましょう。「無意志動詞+てしまいました」は「後悔」の意味が入ることが多くなることに注意。
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