「しきりに」「ひとしきり」「ひっきりなし」の違い

「しきりに」「ひとしきり」「ひっきりなし」

「しきりに」「ひとしきり」「ひっきりなし」の違いについて考えましょう。

まずは問題です

(     )の中に「しきりに」「ひとしきり」「ひっきりなし」のうち最も適切なものを入れてください。

  • (     )降り続いた雨が午後には止んだ。
  • 家の前を車が(     )に通る。
  • 今回の失敗については、彼も反省すること(     )だ。       
  • 地震が(     )に起こって、住民は不安で眠れなかった。  
  • 彼は遅刻したことを(     )に弁解している。      
  • 彼女は(     )泣いた後、元気になった。   

答えは記事の最後にあります。

「しきりに」「ひとしきり」「ひっきりなし」

「しきりに」は「頻度高く繰り返すこと」。「ひとしきり」は「しきりに」の状態が一定時間生じた後、おさまること。「ひっきりなし」は「物事の生じる時間間隔がとても短いこと」を指します。

以下、一つ一つ考えていきましょう。

「しきりに」①

 同一の事象が連続して頻度高く起こる時に「しきりに」を使います。

しきりに①

  • 彼はその人の話にしきりにうなずいて同意しているようだった。
  • 大地震の後には、小さな余震がしきりに起こり住民を不安にした。
「しきりに」は「頻りに」と書き、同じことが何度も繰り返し起こる意味の動詞「しきる(頻)」の連用形「しきり」が語源です。

「ひとしきり」

 「ひとしきり」は「しきりに」の状態が一定時間(期間)続くことを表します。

ひとしきり

  • 彼女はつらいことがあっても、ひとしきり泣けば心が落ち着くそうだ。
  • ひとしきり雨が降ったが、午後にはあがって晴天になった。
「ひとしきり」は「一頻り」。「ひと(一)」は「ひと汗かく」「ひと騒動」「ひと花咲かせる」の「ひと」で「ひとつながりのイベント」を示します。

ひっきりなし

 「ひっきりなし」は「しきりに」と同じ状況で用いられることも多いですが、基本的に「頻度の高さ」よりも「間隔が短く、ほとんどないこと」に重きを置いた表現です。

ひっきりなし

  • マンションの前はひっきりなしに車が通り騒音が激しかった。
  • 彼の店は開店早々なのに、ひっきりなしに客が来て繁盛していた。
「ひっきりなし」は語源的にも「しきりに(頻りに)」とは異なります。漢字で書けば「引っ切り無し」で、「引き切る」はもと「関係を断つ」という意味。この「断つ」という意味から近世には「切れ目」を表すようになり、これに「なし」を付けて「ひっきりなし」ができたと考えられています。

「しきりに」②

 「しきりに」は元は「頻度が高い」ことでしたが、「頻度」から「程度」への意味のシフトが生じ、「涙がしきりに出る」のように「頻度」とは判定しにくい用法があります。

しきりに②

  • 今回のことでは、反省することしきりです。
  • なぜか涙がしきりに出て、止まらなかった。

まとめ

以上まとめます。

「しきりに」「ひとしきり」「ひっきりなし」まとめ

冒頭の問題の答え

  • ( ひとしきり )降り続いた雨が午後には止んだ。
  • 家の前を車が( ひっきりなし )に通る。
  • 今回の失敗については、彼も反省すること( しきり )だ。       
  • 地震が( ひっきりなし )に起こって、住民は不安で眠れなかった。  
  • 彼は遅刻したことを( しきり )に弁解している。      
  • 彼女は( ひとしきり )泣いた後、元気になった。 

以上です。

 

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