「~にくい」「~がたい」「~づらい」「~かねる」の違いについて考えましょう。
まずは問題です
( )の中に「にくい」「がたい」「づらい」「かねる」のうち最も適切なものを入れてください。
- 別れた彼女の家には、ちょっと行き( )。
- その場所は危険なので、私には行き( )。
- あの人の家は山の中にあるので行き( )。
- 一般人には行き( )秘境へ彼は出かけて行った。
答えは記事の最後にあります。
「~にくい」「~がたい」「~づらい」「~かねる」
慣用的な表現以外は、ほぼ共通して使えますが、「~にくい」は「客観的な困難さ」、「~がたい」は「ありえない、確率的に起こりにくい」、「~づらい」は「個人的なやりにくさ」、「~かねる」は「抵抗があってやりたくない」時に使います。
ひとつずつ確認しましょう。
~にくい
~にくい | いちばん一般的な言い方で客観的あるいは常識的な困難さを表す |
- 傾斜の取り方が悪いので、雨水が流れにくい。
- 水に溶けにくい洗剤。
- 歩きにくい靴。(主観が入る場合もOK)
客観的というのは、困難を生じる原因が主として対象側にあるということです。
~がたい
~がたい | 「~にくい」の程度のはなはだしいもの、「確率的に極小」⇒「ありえない」もの |
- あなたの要求は受け入れがたい。
- 難しすぎて、私には理解しがたい。
- 中国にいて、日本では得がたい経験をした。★
「~がたい」は慣用的な言い方が多い
上記★の「得がたい」もそうですが、「~がたい」には他の表現に置き換えられない慣用的な表現も多くあります。
- 筆舌に尽くしがたい。
- 自分には御しがたい。
- 侮りがたい政敵。
~づらい
~づらい | =辛い 個人的な要因、気持ちでやりにくい |
- 足にマメができて歩きづらい。
- 相手は先輩チームなので、どうも攻めづらい。
- 雑音が多くて、聞きづらい。(やや客観的)
漢字は「辛い」なので、基本的には主観的困難さ、感情が含まれやすいが、客観的表現にも使えます。
~かねる
~かねる | やりたくない、自分には抵抗感がありますという気持ちが入ります |
- あの上司の命令は私には承服しかねる。
- 現段階での病名の告知は出来かねる。
- 当店では責任を負いかねます。
まとめ
以下にまとめます。
冒頭問題のこたえ
- 別れた彼女の家には、ちょっと行き( づらい )。
- その場所は危険なので、私には行き( かねる )。
- あの人の家は山の中にあるので行き( にくい )。
- 一般人には行き( かねる )秘境へ彼は出かけて行った。
以上、「違いをあらわす基礎日本語辞典」森田良之著 などを参考にさせていただきました。
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