「増す」「増える」の違い。「増やす」「減る」「減らす」との関係など

「ふえる」「ます」

 「増す」「増える」の違い。「増やす」「減る」「減らす」との関係などについて考えていきましょう。

「増す」と「増える」

「増す」「増える」は共に全体的に多くなることを示すが、「増す」は「スピードが増す」のように「程度観念」が強くなることを表しやすいのに対し、「増える」は「道路に車が増える」のように「数量観念」が多くなることを表しやすい。また「増す」が自他同形なのに対し、「増える」は自動詞(「増やす」が他動詞)である。

「増す」は「程度意識」優位、「増える」は「数量意識」優位

 図でイメージすると以下の通りです。

「増す」「増える」①

「増す」「増える」の表現領域

 「スピードが増す」(程度)は言えますが、「×スピードが増える」は言えません。また「車が増える」は自然ですが、「△車が増す」は少し違和感があり「車の数が増す」のように数量であることを補った方がよくなります。

「増す」「増える」の表現領域(例文付き)

「増える」「増やす」vs.「減る」「減らす」

 「増える」(自動詞)「増やす」(他動詞)のペアは、それぞれ「減る」(自動詞)「減らす」(他動詞)に対応しています。

 そしてこれら4つの動詞は「数量意識」が強い傾向にあります。

「増す」「増える」「増やす」「減る」「減らす」(数量意識領域)

「増す」「増える」「増やす」「減る」「減らす」(数量意識領域)

 数量を表す領域においては以下の対応関係があります。

  • 「人口が増す」「人口が増える」⇔「人口が減る」
  • 「人口を増す」「人口を増やす」⇔「人口を減らす」

「程度」領域における「増す」、「減る」の例外的な使い方

 「程度」を表す「増す」(「スピードを増す」など)と対応する表現は「スピードを落とす」「スピードを下げる」などの別動詞となります。

 「お腹が減る」「靴の底が減る」「タイヤが減る」などの表現は「減る」だけに見られる慣用表現と理解すればいいでしょう。

「増す」程度の領域と「減る」例外表現

「増す」程度の領域と「減る」例外表現

以上です。

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