「日語総合教程」第六冊 第9課「香住から白兎海岸へ」阿部昭 を読みます。
前回(こちら)の続きです。
私は、しかし、砂丘の入口にはあんまりいい感じを受けなかった。店の看板が立ち並び、ロープウェイが走っているのを見ただけで、また記念撮影用のラクダがいると聞いただけで、御免こうむりたい気がしている。
そこで、砂丘に入る前に、その少し手前で、つまり砂丘の北端につづく海岸ぶちで、車を停めてもらった。
ここらは、背後に防砂林の迫った、ごくありふれた、狭い砂丘で、ちょっと見には湘南あたりの海岸と変わらない。だが海の青さにまして、なんと砂のきれいなことだ。
私は海を眺めるのも忘れて、しゃがみ込み、砂を手にすくってみる。白いというのでもない、黒いというのでもない、よく見れば茶色の粒や不透明なガラスの粒のようなのも混っている。それが明るい大きな空の下で、遠目に白々と映えるのであるらしい。
私は手に取ってみるだけでは足りなくて、空きビンを拾って、地質学者みたいにこれに詰めた。それはいま私の机の上に砂時計のように立っている。小さな黒い海鳥の羽毛も一本、そこにささっている。
なんとも子供じみた振る舞いと思われるかもしれないが、海辺育ちの私は、こんな砂を前にしては平静でいられない。昔のことがいちどきに戻ってくるようだ。まわりにまるで誰も人がいないのも、遠い昔にかえったみたいだ。
ひょっとすると、今度の旅行の最大の印象は、日本海の「雄壮を誇る大観光船」についではこの砂粒かもしれない。勿論このあとで歩いた大砂丘でも、つぎの日に見に行った白兎海岸でも、私は砂の研究を怠らなかったが、最初の感激でもう十分のようであった。
私は、しかし、砂丘の入口には…
但是我在沙丘入口处感觉不太良好,
店の看板が立ち並び、ロープウェイが走っているのを見ただけで、また記念撮影用のラクダがいると聞いただけで、御免こうむりたい気がしている。仅看见商店的招牌林立,缆车在行走,又只听说有拍纪念照的骆驼。于是产生了抵触的情绪。
御免こうむる(御免蒙る)(慣用句):いやだとして断る。
(例)「そんな役目は御免(を)こうむりたい。」

鳥取砂丘入り口前(ゴンドラリフトが見える)見にくいが、画面向こう側に日本海を望む
そこで、砂丘に入る前に、その少し手前で、…
于是,在进入沙丘前,在稍稍远一点的地方,也就是连接沙丘北端的海岸边,我让停下了车。
・ふち(縁):物のまわりの部分。へり(縁)
这里是背后紧靠防沙林,极其常见的狭窄的海滨沙滩。乍一看与湘南一带的海岸毫无不同。但是比起海的蓝来,沙的美更为夺目。
・ありふれる(有り触れる):平凡でどこにでもある
・(例)「ありふれた話」「この程度のモノなら世間にありふれている」
作者はどこから砂丘に入った?

入り口手前の防砂林のある入り口

海に近い側から入ると
私は海を眺めるのも忘れて、しゃがみ込み、…
我忘记了看海,蹲下去把沙捧到手上看。
・(例)「川の水を手ですくって飲む」「さじで砂糖をすくう」
也说不上是白,也说不上是黑,仔细看的话是茶色的沙粒及不透明的像玻璃粉末一样的东西混在一起,
远远看去好像那是在又亮又大的天空下面,被映成白乎乎的。

鳥取砂丘の砂
私は手に取ってみるだけでは足りなくて、…
我还不满足仅仅放在手里看,捡了个空瓶,像地质学家似的装了进去。
它现在在我的书桌上像沙漏一样矗立着,一根小的黑色海鸟羽毛插在上边。
・ささる(刺さる):①先のとがった物が他の物に突き立つ。→ ②強い衝撃や感動を与える。
・(例)「指にとげが刺さる」「心に刺さる歌詞」「購買層に刺さる広告」
或许被认为实在是太孩子气的行为,但是在海边长大的我在这样的沙子前是无法平静的。好像过去的事又在同一时刻都返回了过来。
②そうあってほくくない何からしく見える。「子供じみた発言」
・いちどきに(一時に):時を同じくするさま。同時に。一時に。
・(例)いくつもの電話がいちどきに鳴り出した。
「一時(いちじ、いっとき)に」よりも日常語的な言い方です。
周围简直就像什么人也没有的感觉,也好像回到遥远的从前一样。
ひょっとすると、今度の旅行の最大の印象は、…
或许,作为这次旅行最深的印象,仅次于日本海的“以雄伟为自豪的大型观光船”的,就是这个沙粒了。
・(例)開会式が終わりました。次いで競技にはいります。
当然在这以后走的大沙丘也好,在第二天去看的白兔海岸也好,我都没有放松对沙的研究,但这最初的感动似乎已经足够了。


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