「肝」「胆」を含む言葉

「肝」「胆」

「肝」「胆」を含む言葉をまとめました。

日語総合教程第六冊から

 上級日本語テキスト「日語総合教程第六冊」からの引用です。

・その返事の言葉に上役はとまどい、何回も聞きなおし、やっと事態を知り、肝をつぶした。この男、一軒の集金に一週間を費やしたのだ。
P218「未来いそっぷ」星新一

・うまいことを言って、その実、彼をカメラマン兼レンタカー用のお抱え運転手として活用しようという悪い魂胆である。
P253「香住から白兎海岸へ」阿部昭

・メラネシアの造形美術を見ていて気がつくのは、白と黒と赤土色の三色を基調にした大胆な色彩の配合なのだ。
P289「仮面の思想」加藤秀俊

・肝をつぶす:非常に驚く。びっくり仰天する。
・魂胆:心中にもっているたくらみ。(例)彼は何か魂胆がありそうだ。
・大胆:度胸があって恐れをしらないこと。
のような意味です。

五臓六腑の中の「肝」「胆」

 五臓六腑(ごぞうろっぷ)という言葉は日本語の中にもあります。もともとは漢方(中国医学)の身体観によるものです。この漢方医学は陰陽五行説に基づくものです。対応表としてまとめると、以下のようになります。

陰陽五行、五臓六腑の関係

 五臓六腑の五臓は、もっとも内側にあり、「蓄える」「養う」というはたらきを持つ臓器で「陰」側。「肝(肝臓)・心(心臓)・脾(脾臓)・肺・腎(腎臓)」がこれに当たります。六腑は、五臓の外側にあって「通す」「排出する」はたらき「陽」を持ち、「胆嚢(胆嚢)・小腸・胃・大腸・膀胱・三焦」(三焦は特定の臓器を指さない、詳細不明)があります。
 「肝」「胆」はそれぞれ五臓、六腑のなかでも、重要なものとしてさまざまな言葉の中に使われるようになっているのです。

「肝」:魂の宿るところ
「胆」:「肝」を補助し、勇気をつかさどるところ

 というのが、中心的な意味。以下、「肝」「胆」の字を含む重要表現を整理しました。

「肝」を含む言葉

表現意味例文
肝心(肝腎)最も重要なこと。何よりも養生が肝心だ。
肝要きわめて重要なこと。あきらめが肝要だ。
肝心かなめ(肝心に要を重ねて強調)肝心かなめの委員長がいない。
肝銘(感銘)忘れられない程深く心に感じる。多くの人に感銘を与える行い。
肝入り中に立って世話をすること。その人。祖父の肝煎りで就職する。
肝に銘じる心にしっかりと刻みつける。師の戒めを肝に銘じる。
肝をつぶす非常に驚く。びっくり仰天する。そのニュースを聞いて肝をつぶした。
肝を冷やす危ない目にあってひやりとする。車が向かってきて、一瞬肝を冷やした。
肝が据わるわずかなことでは驚かない。度胸がある。捨て身になったら肝が据わった。

「胆」を含む言葉

表現意味例文
大胆度胸があって、恐れを知らないこと。大胆にも一人で敵地に乗り込む。大胆な筆致。
大胆不敵度胸があって敵を敵とも思わないこと。大胆不敵なやり口
落胆期待通りでなくがっかりすること。不合格と知って落胆する。
魂胆心中にもっているたくらみ。彼は何か魂胆がある。
胆力物事をおそれない気力。度胸。胆力を練る。
臥薪嘗胆大きな目的のため長い試練に耐えること。臥薪嘗胆して積年の恨みを晴らす。
肝胆相照らす互いに心の底まで打ち明け親しく付き合う彼とは肝胆相照らす仲だ。

以上です。

 

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