「~べきだ」「~べきではない」「~べく」「~べからず」〔N1,N2文法〕

「べき」「べく」

文語助動詞「べし」を使う文法形式について学びましょう。

〔参考〕「べし」の活用

「べし」は特殊型の活用をします。

未然形連用形終止形連体形已然形命令形
べし べからべく
べかり
べしべき
べかる
べけれ

「~べきだ」

べきだ:ある行為が妥当と判断されることを表す表現です。
 ① 一般論として「~するのが当然だ」ということを表す場合と、② 個別に「~したほうがいい」(お勧め)を表す場合があります。また、③ た形の「べきだった」の形で使うと、妥当な行為が実際に行われなかった意味になり、後悔や不満の気持ちが加わります。
  意味例文
一般論~するのが当然だ今日できる事は明日に延ばさず、今日するべきだ
お勧め~したほうがいい君は勉強が好きだから、博士を目指すべきだよ。
後悔~したほうがよかったもう会えないなら、連絡先を聞いておくべきだった

「~べきではない」

「べきだ」の否定形が「べきではない」で「~してはいけない」(禁止)の意味になります。。「×~ないべきだ」のように「べき」の前の動詞を否定形にすることはできません。

  意味例文
禁止~してはいけない初対面の人に、そんな質問はすべきではない
「べきだ」「べきではない」は話者の主張を述べます。規則で決まっているようなことには使いません。

「~べく」

~べく:~ようと思ってある行為をする、目的を表します
  意味例文
目的~するために彼女は大学院に進学するべく勉強中である。
政府は物価を安定させるべく対策を検討している。
意思を表す動詞につきます、後件も意志的行為を表す文がきます。

「~べからず・~べからざる」

「べき」の未然形は「べから」。「べからず」は「~するな」、「べからざる」は「~してはならない…」の意、共に古い言い方となります。
  意味例文
禁止~するな初心忘るべからず
~してはならない…経営者にとって決断力は欠くべからざる資質である。
「べからず」は現代では掲示や注意書きににしか使いません。

問題

練習問題です。(   )内に入れるのに適当なものを選んでください。

1.~3.から適当なものを選びましょう。
(1)子どもはできるだけたくさん外で(    )べきです。
   1.遊ばせ          2.遊ばせている   3.遊ばせる 
(2)目上の人にそんな失礼なことを(    )。
   1.言うべきではない    2.言わないべきだ   3.言わぬべきだ 
(3)大学に入るには入学試験に(   )。
   1.合格したほうがいい   2.合格するべきだ 3.合格しなければならない 
(4)中学校の同窓会に(   )べく、私はふるさとに帰った。
   1.参加し         2.参加する     3.参加したい  
(5)事件を田中さんに知らせるべく、メールを(    )。
   1.書いた   2.書いておいてください  3.書いた方がいいです
(6)小林氏は今回の選挙に立候補するべく、(    )。
   1.党が認めた   2.手続きをすませた   3.党の応援が必要だ   
(7) 人の一生、(    )べからず。
   1.急ぐ     2.速い        3.速くなる
(8)(    )べからざることを耳にした。秘密は絶対守らねば。
   1.聞け       2.聞く        3.聞いて 
(9)今回の会議でわたしは(    )ことを言ってしまった。
   1.言うべからず    2.言うべからない    3.言うべからざる 

(1)3.(2)1.(3)3.(4)2.(5)1.(6)2.(7).(8)2.(9)3.

 
 

以上、中上級を教える人のための日本語文法ハンドブック、新完全マスター”文法”日本語能力試験N1(共にスリーエーネットワーク社刊)などを参考にしました。

 

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