「次第」の意味を整理します。
広辞苑 第七版から「次第」
広辞苑の語義は以下のようになっています。
(名詞)
①上下・前後の並び。順序。「式次第」
②順次。だんだん。「次第に激しくなる」
③由来。経過。なりゆき。いきさつ。「~という次第です」
(接尾辞)
④物事または事柄のなりゆきに任せる。「どうするかはあなた次第」「手あたり次第」「地獄の沙汰も金次第」
⑤…するに従ってすぐ。「満員になり次第締め切ります」
①上下・前後の並び、順序
「式次第」という言葉以外では、あまり使われなくなっています。
・式典は式次第に沿って、開会の辞から行われた。
②順次、だんだん
静的な意味「順序」に動きが加わり「順次・だんだん」という意味になったようです。
・雨は、次第に激しくなった。
・彼の表情が次第に変わっていくのがわかった。
・彼の表情が次第に変わっていくのがわかった。
③由来、経過、なりゆき、いきさつ
「順次」行われたことの全体を振り返ると「で、どうなった? → 経過」ということになります。
「~という次第です」という風に説明を加える言い方。口語の「~んです」と同じように「相手にわかってほしい」というニュアンスを加える言い方であり、「~んです」の硬い言い方、と意味的に重なる部分もあります。
・以上、ご説明したような次第です。
・お恥ずかしい次第です。
・事と次第によっては許しませんよ。
・お恥ずかしい次第です。
・事と次第によっては許しませんよ。
「で、どうなった?」という顛末を示す他の言い方「~た末」「~あげく」「~ぬく」などと比較対照します
④物事または事柄のなりゆきに任せる。
英語で言えば、depend on~。「~にかかっている」という意味の用法、相関関係を表す表現の一つと言えます。
・成功するかどうかは、あなたの努力次第です。
・天候次第では、遠足は中止になります。
・天候次第では、遠足は中止になります。
相関関係を表すその他の表現、「~に応じて」「~につけて」と比較対照します
⑤…するに従ってすぐ。
このあたりの変化は少し飛躍があるようにも感じられますが、「A 次第 B」で、A動作の実現後、すぐ続けてB動作をすることを表します。後件には「話者の希望・意向を表す文、働きかけの文が来ます。
・詳しいことが分かり次第、ご連絡いたします。
・定員になり次第、締め切りとさせていただきます。
・定員になり次第、締め切りとさせていただきます。
以上、広辞苑 第七版(岩波書店)などを参考にしました。
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