比較対照の「~に対して」
「~に対して」は、対象を示す「先生に対して感謝の気持ちを伝えた。」のような表現の他に、
・うちでは、母がお酒好きなのに対して、父は全然飲めない。〔対照〕
のように対照を表す用法があることは初級で学びました。この対照を表す「に対して」は、「客観的な比較対照」で使用範囲の広い表現です。
ここでは、「~にひきかえ」「~にもまして」「~ないまでも」といった、やや”クセのある”比較対照表現を学びます。
ここでは、「~にひきかえ」「~にもまして」「~ないまでも」といった、やや”クセのある”比較対照表現を学びます。
「~にひきかえ」「~にもまして」「~ないまでも」
「~にひきかえ」
・姉がきれい好きなのにひきかえ、妹はいつも部屋を散らかしている。
・日本を守ろうと体を張って頑張っている彼女にひきかえ、今の私はなんとだらしない生き方をしているのだろう。
・日本を守ろうと体を張って頑張っている彼女にひきかえ、今の私はなんとだらしない生き方をしているのだろう。
「~にひきかえ」は、単なる事実の比較ではなく、いいか悪いかの主観的評価で両者を比べるものです。
「~にもまして」
・昨年は猛暑で35℃を超える日が続いたが、今年は昨年にもまして暑さが厳しかった。
・もともと記憶力は良くなかったが、最近は以前にもましてもの覚えが悪くなった。

・もともと記憶力は良くなかったが、最近は以前にもましてもの覚えが悪くなった。
「~にもまして」は「~」で示す通常のこと、以前のことと比較して「もともとこうだったが、それよりもさらに」という気持ちのとき使われます。
「~ないまでも」
・プロにはなれないまでも、ダンスはこれからも続けていくつもりです。
・毎週とは言わないまでも、せめて月に一度は外食したい。
・毎週とは言わないまでも、せめて月に一度は外食したい。
「~ないまでも」は「理想的な状態、極端な状態」を比較対照して、後件には、満足できる最終的な到達点より、少し下のレベルをあらわす表現が来ます。
まとめ
「~にひきかえ」「~にもまして」「~ないまでも」のニュアンスの違いをひとことでざっくり言うと、
・「~にひきかえ」:真逆!
・「~にもまして」:さらに!
・「~ないまでも」:そこまでは…でも
問題
問題です。( )内に入れるのに適当なものを選んでください。
(1)岡田先生が( )にひきかえ、加藤先生は物わかりがいい。
1.頑固 2.頑固なの 3.頑固な
(2)( )にもまして、( )は仕事が多い。
1.いつもの年/今年 2.水曜・木曜 3.韓さん/林さん
(3)昨日はあらしとは( )までも、大風が吹いた。
1.言う 2。言える 3.言わない
(4)セールがあるため、店は( )込んでいる。
1.いつもにひきかえ 2.いつとはいわないまでも 3.いつにもまして
(5)祖母が落ち着いてゆっくり( )母は早口でわかりにくい。
1.話すのにひきかえ 2.話すのにもまして 3.話すとはいわないまでも
(6)みんな( )、今回の松本さんの態度を快く思っていないのではないか。
1.口に出すのにひきかえ 2.口に出すのにもまして 3.口には出さないまでも
(7)今日は会長( )、副会長の私がご挨拶申し上げます。
1.にひきかえ 2.に代わって 3.にもまして
(1)2.(2)1.(3)3.(4)3.(5)1.(6)3.(7)2.
以上、新完全マスター「文法」日本語能力試験N1(スリーエーネットワーク社)などを参考にしました。
コメント