「~といえば」「~といっても」「~からといって」の三つについて考えましょう。
『生きて愛するために』辻邦生 から
海好きといっても、心ゆくまで海と親しんだのはその夏だけで、あとは学校から海水浴にゆく程度だった。
「海の中に母がいる」
「海の中に母がいる」
(冒頭の、「(筆者の)海好きは母から伝わっている」という、海が好きだという記述を受けて、「海好き」というからには、海に親しむ機会が多いだろうという想像に反して、という気持ちを「~といっても」で表現します。)
「~といえば」と「~といっても」
「~といえば」「~というと」は、主に相手の言ったことに返すような形で、「~と聞いて、思い出すのは…」という意味を表すときの決まり文句。これを強調した形が「~といったら」です。
・「歌舞伎が好きでよく見ます」「歌舞伎といえば、歌舞伎座は立て直すそうですね」
・夏の食べ物といったら、やっぱりスイカだね。
・夏の食べ物といったら、やっぱりスイカだね。
「~といっても」は「~といえば」と対応する関係にある表現で、「~と聞いて想像することや期待することとは違って、実際は…」という意味を表現するときに使います。
・暑いといっても、京都よりはましでしょう。
・デザイナーとはいっても、洋服とかのデザインをする人ではなくウェブデザイナーです。
・デザイナーとはいっても、洋服とかのデザインをする人ではなくウェブデザイナーです。
「~というと」「~といっても」まとめ
「~からといって」
「~からといって」は「それだけの理由では…とは言えない」「それだけの理由では判断できない」という意味で、後件には一般に「~とは限らない」「~わけではない」などの否定的表現がきます。
・日本人だからといって、正しい敬語が使えるわけではない。
・電気自動車だからといって、環境にやさしいとは限らない。
・電気自動車だからといって、環境にやさしいとは限らない。
「~からといって」
問題
問題です。正しいと思われる方を選んでください。
- 旅行( というと・からといって )ハワイの海を思い出す。
- 寒い( といったら・といっても )コートを着るほどではない。
- 朝食をぬいた( といっても・からといって )痩せるわけではない。
- 店の前に行列ができている( からといって・ことから )人気がある店だとわかる。
- 人気がある店だ( からといって・ ことから )おいしいとは限らない。
- 寒い日にケガをした時の痛さ( といったら・からって )、説明できないほどだ。
- 大阪( からといえば・といえば )たこ焼きが有名ですよ。
1.というと、2.といっても、3.からといって、4.ことから、5.からといって、6.といったら、7.といえば
以上、日本語能力試験対策N2文法総まとめ(三修社)などを中心にまとめました。
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