長い時間やってどうなったのかという「事の顛末」を表す「~た末」「~あげく」「~ぬく」「~次第」の4つの言い方について考えましょう。
『田中正造』上笙一郎 から
「日語総合教程第五冊」では、以下のくだりに「~た末」が初出表現として出てきます。
正造の心は重かった。一身や党派の利害をはなれて、ひたすら正義のために働いているというのに、世間では選挙運動としか思ってくれないのだ。しかも、鉱毒地の農民たちの生活は年ごとに苦しくなり、芋粥も啜れない家や、困り果てた末、家族が散り散りになる家さえも出てきているのである。
「この先、わしはいったい何をしたらよいのだろうか―。」
『田中正造』上笙一郎
「~た末」の後には「物事のたどり着いた最終的な結果」が来て、一般的には納得のいく良い結果が来ることが多いイメージですが、ここでは「悪い結果」となっています。
問題
まずは問題をやりましょう。正しい方を選んでください。
- お会いして説明した方がいいと思い、伺った( あげくです・次第です )。
- 毎年、夏祭りの盆踊りは3時間( 踊る次第です・踊りぬきます )。
- 何度も転職した( 末に・あげくに )やっと自分に合う仕事が見つかった。
- いろいろ悩んだ( 末・あげく )、残念だが、来月国へ帰ることにした。
- 予想外の結果に、私どもも驚いている( 次第・あげく )です。
- マラソンは初体験だったが、なんとか走り( ぬく・あげく )ことができた。
- これはよく考えた( 末の・末に )結論です。
1.次第です、2.踊りぬきます、3.末に、4.あげく、5.次第、6.ぬく、7.末の
「~た末」「~あげく」「~ぬく」「~次第」
「~た末」「~の末」
「~た末」:いろいろなことをした後、または長い時間をかけた後、最後の最後にどうなったかを表現します。結果に至る苦労、時間に重点が置かれ、結果については良いことも悪いこともあり、中立です。
- 何度も転職した末にやっと自分に合う仕事が見つかった。
- よく考えた末、日本に留学することに決めた。
- 5時間にわたる交渉の末にようやく合意に達することができた。
「~あげく」
「~あげく」:「た末」と同じく、長時間、またはいろいろなことの最後に、というニュアンスですが、後件は悪い結果や残念に思うことがきます。

- いろいろ考えたあげく 、残念だが、来月国へ帰ることにした。
- さんざん悩んだあげく、結局何も買わなかった。
- 5時間にわたる交渉のあげく、結局何も決まらなかった。
「~ぬく」
「~ぬく」:自分の意志で最後までやり終えること、または納得のいくまでやることを意味します。「努力した」「全力でやった」という気持ちが入ります。
- マラソンは初体験だったが、なんとか走りぬくことができた。
- 納得のいくまで考えぬいた上での結論なら、あとは自信をもって実行しなさい。
- フランス料理を知りぬいた彼女が紹介する店なら、まず間違いないでしょう。
「~次第」
「~次第」:「~次第」は「~のです、んです」の丁寧な形。「説明」がキーワード。「いろいろな経緯があって最終的にこうなった」ことを改まって説明したいときに使います。

- 予想外の結果に、私どもも驚いている次第です。
- 以上のような次第で、私が社長に就任することになりました。
- ことと次第によっては、許しませんよ。
まとめ
以下にまとめます。
以上、日本語能力試験対策N2文法総まとめ(三修社)などを中心にまとめました。
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