「何かの出来事がきっかけで、その後に変化が生じた」という意味の「~からというもの」「~を皮切りに」「~を機に」について比較しましょう。
『木の葉の魚』安房直子 から
「日語総合教程第五冊」では「~からというもの」が新出表現として登場します。
「わしらは、田中のとっさまを信じております。お言葉どおりにいたしましょう。」と、五十名の代表を残して、あとの者はおとなしく村々へ帰っていったのである。
それからというもの、正造は農民たちの信頼に応えようと、昼も夜もなく働いた。議会では今夜食べる物もない農民たちの惨めさを涙ながらに話し、町では鉱毒問題演説会を開いて、鉱毒地に目を注いでくれるよう人々に訴えた。
村人たちの悲痛な叫びを理解した田中正造が、以前にも増して足尾鉱毒問題の解決に向け努力を続けるきっかけを述べた部分です。「からというもの」=「その後はずっと」です。
問題
問題からやりましょう。以下、正しい方を選んでください。
- 大阪を( 皮切りに・機に )全国各地でチャリティーコンサートが開かれる。
- 海外進出を( 皮切りに・機に )社名を変更した。
- 泥棒に入られ( たのを機に・てからというもの )不安でしかたがない。
- 泥棒に入られ( たのを機に・ てからというもの )防犯対策を強化した。
- 人間ドックでひっかかったのを( 機に・皮切りに )禁煙した。
- あの先生の授業を受け( てからというもの・たのを皮切りに )日本語の勉強が好きになった。
- あの事件を( 皮切りに・機に )次々と奇怪な事件が続く。
1.皮切りに、2.機に、3.てからというもの、4.たのを機に、5.機に、6.てからというもの、7.皮切りに
「~からというもの」「~を皮切りに」「~を機に」
「~からというもの」
「~(て)からというもの」:「AてからというものB」のかたちで、Aをきっかけに変化があり、その後はずっとBという状態が続いているということを表します。
「からというもの」の後にはある種の「感情の余韻」が漂う場合が多いです。
「からというもの」の後にはある種の「感情の余韻」が漂う場合が多いです。

- タバコをやめてからというもの、食事がおいしく感じられる。
- 子どもが生まれてからというもの、毎日が慌ただしく過ぎていく。
- あの日の別れからというもの、彼のことが頭から離れない。
- 日本に来てからというもの、味噌汁なしでは朝が始まらない。
「~を皮切りに」
「~を皮切りに」:「Aを皮切りにB」で、「AをスタートとしてBが続くこと。AがBのいちばん始め」であることを表します。
「~を皮切りに」といえば「始まりの勢い」というものが感じられます。
「~を皮切りに」といえば「始まりの勢い」というものが感じられます。

- その新人作家は、芥川賞を皮切りに各種新人文学賞をさらっていった。
- 東京を皮切りに、全国ツアーがスタートした。
- 会長の挨拶を皮切りに、式典が厳かに開始された。
「~を機に」
「~を機に」:「Aを機にB」で、Aがきっかけで何かが変わったり、始まったりしてBという異なったフェーズに入ることを表します。
「~を機に」移行する新たなフェーズは、多くの場合「意志ある選択」によるもの。
「~を機に」移行する新たなフェーズは、多くの場合「意志ある選択」によるもの。

- 災害を機に、多くの人が危機管理に関心を持つようになった。
- 母の入院を機に、会社を辞めて田舎に帰ることにした。
- 犯人逮捕を機に、巨大な犯罪組織の存在が明らかになった。
以上、以上、日本語能力試験対策N1文法総まとめ(三修社)などを中心にまとめました。
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