本記事は中国の大学日本語学科3年次で、標準的に使用されている「日语综合教程第五册」の教材研究用メモです。
「…ない」で終わるN1文法フレーズ
日本語総合教程5「言葉の学習」欄で取り上げられるフレーズのうち「…ない」と、ないで終わるフレーズは以下の通り。
大学3年次では、日本の高校国語レベルの文章が並ぶ。テキストとして、辻邦生、梅原猛、本川達雄とそうそうたる書き手の名文が並んでいる。学生が初めて接する例文は、文法欄の辞書的例文ではなく本表中の”生”の例文を主体に導入したい。
N1レベル文法事項の補充
本教材「日本語総合教程シリーズ」は、高校英語のリーダー教科書のような構成なので、導入単語、導入文法にはどうしても網羅性に欠けるという欠点があります。
これを補うために教える側はテキスト中の導入フレーズに関連して、類似表現、反対、対義語的表現、などなど、関連して芋づる式にN1レベルの語彙、文法を適宜補いつつレベルアップを図りたいものです。
「~てやまない」
「非常に~する」という意味の「~てやまない」「~てたまらない」「~てならない」をセットにします。
人々の幸せを願ってやまない。
大好きなケーキを前にして、食べたくてたまらない。
ふとした瞬間に、昔のことが思い出されてならない。
「~以外の何物でもない」
「まさしくそのもの」であることを強調する「~に他ならない」「まぎれもなく~だ」とセットで覚えましょう。
- 彼女の行動は、自己中心的以外の何物でもない。
- 彼女が成功したのは、たゆまぬ努力の成果に他ならない。
- これはまぎれもなく本物のダイヤモンドだ。
「~極まりない」
「程度の最大」を示す表現として「~の至り」「~限り」や「極」の入る「極まる」「極み」などとセットで覚えましょう。
- あんな小舟で急流下りとは危険なこと極まりない。
彼女は、感極まって泣き出してしまった。
豪華客船で世界一周の旅ができるなんて贅沢の極みだ。
若気の至りでした。今となってはお恥ずかしい。
年をとって海外で一人暮らしとは、心細い限りだ。
「~に越したことはない」
この三つは類似表現ではありません。例えば以下のような例文で、違いが理解できるのではないでしょうか。
・お金はあるに越したことはない。しかし、お金への欲望はいくら求めても限りなく、きりがない。最低限の生活に差し支えない程度のお金があれば、それで足ることを知るのが良いのでは。
以上、日语综合教程第五册(上海外語教育出版社)を参考にしました。
コメント