「ばかり」にはいろいろな使い方があります。整理して覚えましょう。
「ばかり」の語源
「ばかり」は「計る(はかる)」の連用形「はかり」から転じて文法化したものです。「計る(はかる)」の語義を広辞苑で調べて見ると次のようにあります。
仕上げようと予定した作業の進捗状況を数量・重さ・長さなどについて見当をつける
言い方を変えると
本来、連続している物事に区切りをつけ、その数量を測定・評価する
という行為が「計る」であるということです。ここから派生した意味として「計り(ばかり)」が「おおよその程度・分量」を表すようになったのが、副助詞「ばかり」のもともとの始まりです。
- まだ半分ばかり、残っている。〔おおよその見積もり:about〕
- 5日ばかり休暇をとる。〔おおよその見積もり:about〕
上記の〔おおよその見積もり〕という意味に続いて、そのおおよその見積もりをした部分について、だいたいの枠を区切って示すという観点から〔限定〕するという意味にも使われるようになります。
- 最近、雨ばかり降るなあ。〔限定:only〕
- 泣いてばかりいてもわからないよ。〔限定:only〕
中世になると、当初の「about」の意味で使う用法がやや廃れ「ほど」に置き換わっていくと同時に、二番目にできた「only」の意味が主流となり、そこを起点に次々と派生的な意味を生み出していくことになります。
「ばかり」の用法
おおよその見積もり、限定の意味も含め、現代用法で使われている「ばかり」の意味ごとの例文を列挙します。
- まだ半分ばかり、残っている。〔おおよその見積もり:about〕
- 最近、雨ばかり降るなあ。〔限定:only〕
- 割れんばかりの拍手に迎えられて入定した。〔強調〕
- 彼女は感動のあまり、泣きださんばかりであった。〔今にも~しそう〕
- 彼は、もうあきらめたと言わんばかりに席を立った。〔さも~のように〕
- 卒業したばかりでまだ社会のルールがわからない。〔~して間もない〕
- あの問題ができなかったばかりに1年の浪人生活を強いられた。〔それだけが原因〕
- 1年の浪人生活を強いられたばかりか、彼女にもフラれてしまった。〔それだけでなく〕
「ばかり」の意味拡張の流れ
上記の8つの意味のつながりをイメージしたのが下図です。
「ばかり」の意味変遷

「ばかり」の意味変遷
以上、TRY!日本語能力試験N1文法から伸ばす日本語改訂版(アスク社刊)中上級を教える人のための日本語文法ハンドブック(スリーエーネットワーク社刊)などを参考にしました。
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