日本語能力試験N1文法「~極まりない」「~極まる」「~の極み」「~の至り」「~限り」について考えましょう。
「~極まりない」「~極まる」「~の極み」「~の至り」「~限り」
いすれも「程度の最大」を」示す言葉ですが、接続や使用場面に違いがあります。
「極まりない」は形容詞に付いて、「これ以上ないほど~だ」という強調(例:不快極まりない)。
「極まる」は動詞で、物事が極限に達すること(例:混乱極まる事態、「感極まる」は慣用的な表現)。
「の極み」は名詞に付いて、「~の中で最上の状態」という意味(例:贅沢の極み)。
「の至り」は主に抽象的・精神的な状態に用い、「~のうちで最高の感情や評価」という意味(例:光栄の至り、若気の至りなどは慣用的な表現)。
「限り」は「できる限界まで」という意味で範囲や程度を表す(例:力の限り頑張る)。
表現 | 品詞接続 | 用例 |
~極まりない | 名詞、形容動詞語幹、形容動詞語幹なこと | 無礼極まりない、危険極まりない、無謀極まりない、危険なこと極まりない |
~極まる | 名詞、形容動詞語幹 | 危険極まる、退屈極まる、進退極まる、感極まる |
~の極み | 名詞 | 贅沢の極み、無知の極み、残念の極み |
~の至り | 名詞(限定) | 光栄の至り、感激の至り、若気の至り |
~限りだ | 形容詞、形容動詞 | 嬉しい限りだ、悔しい限り、腹立たしい限り、残念な限りだ、迷惑な限りだ |
問題
問題をやりながら確認しましょう。「~極まりない」「~極まる」「~の極み」「~の至り」「~限り」の5つを適当に変化させて( )内に入れてください。(解答は記事末尾にあります)
彼女は、感( )泣き出してしまった。
豪華客船で世界一周の旅ができるなんて贅沢( )だ。
若気( )でした。今となってはお恥ずかしい。
年をとって海外で一人暮らしとは、心細い( )。
あんな小舟で急流下りとは危険なこと( )。
~極まる
- 彼女は感(極まって)泣き出してしまった。
「感極まる」は慣用句として決まった言い方。「極まる」は「極まりない」とほぼ同義、「物事の程度がはなはだしいことを示します」
~の極み
- 豪華客船で世界一周の旅ができるなんて贅沢(の極み)だ。
「の極み」も「極まる」「極まりない」と同様、「疲労の極み」「無知の極み」といった否定的な言い方をする一方、「贅沢の極み」「美の極み」「幸せの極み」「優雅の極み」などプラス評価「極上」の意味を表す場合も多いようです。
~の至り
- 若気( の至り )でした。今となってはお恥ずかしい。
「若気の至り」もほぼ固定した慣用句として、「光栄の至り」と一緒に覚えておいた方がよいでしょう。また、「~の至り」はかなり格式ばった言い方となり、使える名詞はかなり限定されます。
~限り
- 年をとって海外で一人暮らしとは、心細い( 限りだ )。
「非常に~だ」という意味の「~限り」は「うれしい限り」「心強い限り」「迷惑な限り」のように感情を表す形容詞、形容動詞を伴って「気持ち」が強いことを表す点が特徴です。
~極まりない
- あんな小舟で急流下りとは危険なこと( 極まりない )。
「~極まりない」は前述のように「~極まる」と重なる部分が多く、他の表現とも共通して使用できる場合が多いですが、ただ一点「形容動詞語幹+なこと」に接続可能という特徴があります。
問題の解答
1.極まって、2.の極み、3.の至り、4.限りだ、5.再び、6.極まりない
以上、使い方の分かる類語例解辞典(小学館)、日语综合教程(第五册)上海外语教育出版社などを参考にしました。
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