「偶然」「たまたま」「たまに」の違いについて考えましょう。
「偶然」「たまに」
- 彼女との偶然の出会い。〔偶発的、意外な出来事〕
- 週末はたまに外食する。〔意図的動作〕
「偶然」と「たまに」は、「偶然」が偶発的、意外な出来事があったことを示し、「たまに」は頻度は少ないが意図した動作である点で、全く異なります。

「偶然」と「たまに」
「偶然」「たまたま」「たまに」
「たまたま」は意味的に「偶然」と「たまに」の間に位置するようです。つまり「たまたま傘をもっていたので雨に濡れなくて済んだ」のように、「大した意図なく動作したがそれがうまいぐあいに」という意味を持ちます。

「偶然」「たまたま」「たまに
「偶然」⇒「たまたま」⇒「たまに」のグラデーション
意味の上で「偶然」⇒「たまたま」⇒「たまに」の順に下図のように「意外⇒意図的」の軸上に並んでおり、用例としては①「偶然」だけが使える領域、②「偶然、たまたま」の双方が使える領域、③「たまたま」だけが使える領域、④「たまたま、たまに」の双方が使える領域、⑤「たまに」だけが使える領域、に分類することができます。

「偶然」「たまたま」「たまに」①~⑤
以下、上図の①~⑤領域の例文を示します。
①「偶然」だけが使える領域の例文
- 彼女との偶然の出会いが私の人生を変えた。①
「意外」な出来事(彼女との出会い)がメインの主張であるような例文①では「たまたま」は使いにくく、「偶然」が適切になります。
②「偶然、たまたま」の双方が使える領域の例文
- 出張の時、駅で偶然彼に会った。②
- 出張の時、駅でたまたま彼に会った。③
この領域では「偶然」「たまたま」はほぼ同義です。「たまたま」の方が口語的に聞こえるという違いはあります。
③「たまたま」だけが使える領域の例文
- 雨が降ってきたが、たまたま傘を持っていたので濡れずに済んだ。④
「うまいぐあいに」という「たまたま」にしかない用法です。「偶然」は使えません。
④「たまたま、たまに」の双方が使える領域の例文
- たまたま一人で映画を見に行くこともある。⑤
- たまに一人で映画を見に行くこともある。⑥
意味は「ときどき一人で映画を見に行く」ということで、本来意図的行動なので⑥が通常表現となるが、「たまたま」を使う⑤では、「そういうことが偶然と言えるほど頻度が少ない」というニュアンスの言い方となります。
⑤「たまに」だけが使える領域の例文
- 週末はたまに外食する。
「ときどき、まれに」の意味であり「たまたま」は使えません。
以上、新装版使い方の分かる類語例解辞典(小学館)、日语综合教程(第五册)上海外語教育出版社などを参考にしました。
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