「~といい~といい」と「~といわず~といわず」を比較しましょう。
「AといいBといい」「AといわずBといわず」
どちらも「AもBも両方…である」という基本的な意味は同じですが、用法には微妙な違いがあります。例文を比較してみましょう。
- 値段といい、性能といい、このスマホは私にぴったりだ。〔主観〕
- 値段といわず、性能といわず、このスマホはすべてにおいて最高峰だ。〔全体性〕
- 顔といい、スタイルといい、彼女は国民的アイドルにふさわしい。〔主観〕
- 顔といい、体といい、全身泥だらけだ。〔全体性〕
「~といい~といい」の後件には「主観的判断」がなじみます。それに対して「~といわず~といわず」の後件には「すべて、いつも、ずっと」のような「客観性+全体性」を表す表現がぴったりはまるようです。
「AといいBといい」「AといわずBといわず」それぞれのイメージ
「AといいBといい」は複数の要素の中から、重要と思われるAとBという二つの要素に絞って言及し、そこから全体を述べる、というイメージがあります。要素の選択に「主観」が入っているように感じられます。
これに対し「AといわずBといわず」は同じく複数の要素の中から、代表的と認められるAとBという要素があるが、それに限らず、Aおよびそれ以外も、またBおよびお例外も、というニュアンスがあります。
図示すると以下のようになります。
「~といい~といい」
アイドルの二大要素は「顔」であり、「スタイル」だ →
その二大要素を満足するので、話者は「アイドルにふさわしい」と考える。
「~といわず~といわず」
「顔といわず」:顔はもちろんなのだが、それにあえて特定せずその他の部分も

「顔といわず、体といわず」

要するに「全体が」泥だらけである

まとめ
以上まとめます。

「~といい~といい」「~といわず~といわず」まとめ
置き換えができない例文
以上のような違いから、次のような典型的な例文では、相互に置き換えができないようです。
- 雰囲気といい、サービスといい、この店は落ち着く。
- 若い頃は、昼といわず、夜といわず働き続けた。
以上
TRY!日本語能力試験N1文法から伸ばす日本語 アスク社刊などを参考にしてまとめました。
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