機会を表す「際(さい)」と「折(おり)」の違いについて考えましょう。
「際(さい)」と「折(おり)」
際(さい)は「特定」の機会で多くは一回だけのもの。折(おり)は「ちょうど良い」機会で、多くの場合何度も訪れる。
「際(きわ、さい)」
「際」は「きわ」、「さい」と読み、それぞれ少し意味が異なります。有名な枕草子の冒頭に「やまぎわ(山際)」という言葉が出てきます。
春はあけぼの。やうやう白くなりゆく、山ぎは少しあかりて、むらさきだちたる雲のほそくたなびきたる。(春は、夜明けがよい。 だんだんと白くなってゆく山際の空が、少し明るくなって、紫がかった雲が、細くたなびいているのが趣がある。)『枕草子』 清少納言
この「やまぎは」は「山が尽きるところ」ということで、山の稜線に接する空の部分を指していますね。
もともと「際(きわ)」は「尽きるところ」「接するところ」という物理的な境界線を指していたようです。そこから「際(さい)」になると「接する」→「触れ合う」→「出会う」と、割と人と人との出会いのような場面でも使うようになり、「特別な機会(めぐり合わせ)」を表すようになったと思われます。
について.png)
際(きわ、さい)について
「特別な機会」という感覚が強いので、たとえば以下のような例では「際」は使えるが「折」は使わないようなようです。
- 〇 非常の際
- △ 非常の折
- 〇 この際、すべてお話ししましょう。
- ✕ この折、すべてお話ししましょう。
- 〇 人類が月に行った際、宇宙人と出会った。
- △ 人類が月に行った折、宇宙人と出会った。
では、「折」はどういうものか確認しましょう。
「折(おり)」
「折」は「折り目」と考えると理解し易いようです。「他とは区別される特別の時」であるという意味では「際」と同じようですが、定期的にやってくる機会であったり、自分で自由に設定出来たりする機会です。「際」は一回きりのことが多いのに対し、「折」は多くの場合、複数回あってもおかしくないものです。
- 寒さ厳しい折から、お身体を大切に。
- 状況の折には、いろいろとお世話になりました。
- アメリカ出張の折を利用して、メキシコまで遊びに行く。
- 環境保護が叫ばれている折、「使い捨て」という商品名はよくない。
以上、時間をあらわす基礎日本語辞典 森田良行著 (角川ソフィア文庫)などを参考にしました。
コメント