「違う」と「異なる」について

「違う」「異なる」

「違う」と「異なる」について考えましょう。

「違う」の用法

①AとB(と)は…が違う

AとBを同等に扱って、両者をある面において相手を基準にして比較し差があることを表す言い方です。

  • 日本と中国とは大きさが違う。
  • あの二人は考え方が違う。
  • 君と僕とでは立場が違う。
「AとBは…が違う」

「AとBは…が違う」

②AとBは違う

①と同様、AとBを同等に扱って、相手を基準にして比較して差があることを示す。基準は自明の理である場合、あえて言及されない場合がある。

  • あいつと俺は違う。
  • 犬と猫は違う動物である。(色が違う)
  • 日本国旗の赤と中国国旗の赤は違う。(色調が違う)
「AとBは違う」

「AとBは違う」

③AはBと違う

Bを基準にしてAを見た時、差があると認める。

  • 彼女はみんなと違う行動をとりたがる。
  • 今日はいつもと違うネクタイですね。
  • これは思ってたのと違うかもしれない。
「AはBと違う」

「AはBと違う」

④Aが違う

基準Bを定めず、Aが本来あるべき状態を基準にする。

  • 約束が違う。
  • 話しが違う。
  • 答えが違う。
Aの本来あるべき姿が、個人的認識でなく、社会一般の通念や常識、習慣的事実、真理である場合、それを基準に現実のAが一致するかどうかを判断すると「違う」は「正しくない」という意味になる。
「違う」=「正しくない」

「違う」=「正しくない」

「違う」のまとめと「異なる」との比較

上述①②③の「違う」は「比較」を表し、反対語は「同じ」。④の「違う」の反対語は「正しい」となります。「異なる」は「比較」のみを表し、比較の意味では違うと同様に使われます。

「違う」「比較」のまとめ

以下にまとめます。

「違う」と「異なる」まとめ

「違う」と「異なる」まとめ

〔参考〕「ちがくない??」

「同じ」と「違う」

「同じ」と「違う」は反対語なのに「同じ」は「形容動詞」、「違う」は「動詞(五段活用)」で品詞が違っていてややこしい。おまけに「同じ」は形容動詞としても変則で連体形に「な」がつきません。

「同じ」+「人」=「同じ人」(×同じな人)、「元気」+「人」=「元気な人」

「ちがくない」と「ちがかった」

ちがくない上のような複雑さがあるからかどうかわかりませんが、近年「ちがくない」(違わない)「ちがかった」(違った)という人が増えています。「違い」をイ形容詞として活用してしまった結果生まれた”新用法?”です。

おもしろい違い違う
おもしろくない違くない違わない
おもしろかった違かった違った

「違かった」が、いつか正用法になる日が来るのでしょうか。

以上、基礎日本語辞典 森田良行著 角川書店刊 などを参考にしてまとめました。

 

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