みんなの日本語(初級1)第22課 教案Tips

みんなの日本語初級第22課

みんなの日本語(初級1)第22課のポイントなどについて解説します。

普通形を使う文型(連体修飾節)

 21課に引き続き22課も普通形を使う「連体修飾」について学習します。

連体修飾節の述部動詞は普通形になります
AはBですAは〔連体修飾節〕ですこれは〔女の人が読む雑誌です。
〔連体修飾節〕はBです〔母がよく作る料理はカレーです。
私はAをV私は〔連体修飾節〕をB私は〔パソコンを入れるカバンを買いました。
私はAがB私は〔連体修飾節〕がB(嗜好、欲望)私は〔本を読む人が好きです。
私は〔連体修飾節〕がB(有無)私は〔買い物に行く時間がありません。
連体修飾節中の主語(主体)は「が」で、「は」は使えません
  • これはミラーさんが住んでいた家です。
  • ミラーさん住んでいた家古いです。
  • ミラーさん住んでいた家好きです。
  • ミラーさん住んでいた家猫がいました。
  • ミラーさん住んでいた家行ったことがあります。

 またテキストの「文型」に示されている4つの文型のうち1~3は「内の関係」の修飾節、4は「外の関係」の修飾節であることも教師は認識しておいた方がよいでしょう。

  1. これはミラーさんが作ったケーキです。(ミラーさんがケーキを作った)
  2. あそこにいる人はミラーさんです。(あそこに人がいる)
  3. 昨日 習った言葉を忘れました。(昨日言葉を習った)
  4. 買い物に行く時間がありません。(買い物に行く、「時間」は修飾節に入らない)
修飾節の「内の関係」「外の関係」は学習者の母語によって、意識させる必要がある場合とそうでない場合があると考えます。

 上記のことは修飾語の位置が、日本語や中国語のように原則「前からかかる」言葉か、英語のように「後ろからかかる」場合が多い言語かによって異なります。以下は、参考記事から抜粋しますので興味のある方はご確認ください。

〔参考〕名詞修飾に関する「さんま問題」

 名詞修飾に関する有名な例文が表題の「さんまを焼く男」と「さんまを焼くにおい」です。形は似ていますが、修飾される名詞と修飾語の関係が少し違うようです。

さんまを焼く男さんまを焼くところの男(限定)
さんまを焼くにおいさんまを焼くというにおい(同格)

「~ところの…」「~という…」という表現をすると英語で関係詞や同格の言い方を勉強した時のことを思い出します。

さんまを焼く男Man grilling saury.
さんまを焼くにおいThe smell of grilling saury.

「さんまを焼く男」は被修飾語の「男」が修飾語の各成分に入れることができる、つまり「男がさんまを焼く」と言えるのですが、「さんまを焼くにおい」は被修飾語の「におい」は「さんまを焼く」に格成分として入れられません。

 このことから「さんまを焼く男」は「内の関係」、「さんまを焼くにおい」は「外の関係」の名詞修飾と言います。

さんまを焼く男男がさんまを焼く 〇内の関係
さんまを焼くにおいにおいがさんまを焼く??外の関係
「さんまを焼く男(内の関係)」と「さんまを焼くにおい(外の関係)」

「さんまを焼く男(内の関係)」と「さんまを焼くにおい(外の関係)」

「内の関係」「外の関係」の例

いくつか例を挙げておきます。

  • 彼が座ったベンチに腰掛けた。〔彼がベンチに座った〕【内の関係】
  • 彼が座ったところに腰掛けた。【外の関係】
  • 休日出勤した張さんは代休がもらえる。〔張さんが休日出勤した〕【内の関係】
  • 休日出勤した分は代休がもらえる。【外の関係】
  • 王さんと出会った喫茶店を今でも覚えている。〔王さんと喫茶店で出会った〕【内の関係】
  • 王さんと出会った日を今でも覚えている。【外の関係】

英語話者は注意

 ざっくり言って英語に直す時「内の関係」の名詞修飾は「関係代名詞あるいは関係副詞を用いる恋愛中の男女関係節」に、「外の関係」の名詞修飾は同格のthat節でつなげる文型にすればよいようです。

既婚である女性(内の関係):I fell in love with a woman who was already married.(私は既婚である女性と恋に落ちた。)

既婚である事実(外の関係):She hid the fact that she was already married.(彼女は既婚である事実を隠した。)

 実は中国語ネイティブの学習者は、この「内外の関係」を意識する必要がありません。中国語では限定、同格共に日本語と同じ形式で表現できるからです。

さんまを焼く男烤秋刀鱼的男人
さんまを焼くにおい烤秋刀鱼的香味儿

〔参考〕着脱に関する動詞

 第22課の練習B、第3題では衣類のつけ方(着る、はく等)に関する表現が出てきます。この課でのサブテーマとして衣類の着脱に関する動詞を学ぶというものがあります。

  • 着物を着ている人
  • 赤い靴をはいている人
  • ネクタイをしている人(or 締めている)
  • 帽子をかぶっている人
 これを機会に「着脱に関する動詞」を整理してまとめて導入するとよいでしょう。
大ざっぱに言うと、つけるとき、上半身は「着る」、下半身は「はく」。とるときはすべて「脱ぐ」ですが、細かく見るとけっこう複雑です。以下にまとめます。
「着脱の動詞」まとめ

「着脱の動詞」まとめ

以上です。

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て形」(14課~16課)の時と同様、「普通形」に慣れることが重要。またほとんどが「複文」となりますので、導入文型もやや高度になってきます。ナ形容詞、名詞にイレギュラーな接続もあり完全に運用させるためには、ある程度、時間をかけることも必要かと思います。

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