相撲由来の言葉を集めました。
揚げ足を取る
相手の小さなミスを捉えて、攻撃する。「彼は人の言葉尻を捉えて攻撃しているだけなのに、論破したと得意がっている。」
「揚げ足」は土俵から浮いた足のこと。相撲、あるいは柔道で、相手のあげた足を手でとらえて倒すことをいいます。そこから転じて、相手のちょっとしたミス、小さな部分をとらえて攻撃する意味。「揚げ足取り」という名詞としても使います。
肩透かし
相手の勢いをそぐこと。「記者たちは、鼻息を荒くして彼に迫り矢継ぎ早に質問を浴びせたが、結局彼のあのジョークに肩透かしを食らった形で退散した。」
「肩透かし」は相撲の四十八手ある決まり手のひとつ。前に出てくる相手に対し、身をかわしつつ相手の腕を抱え込み、もう一方の手で肩や背中をたたいて引き倒す技。転じて、相手の勢いを上手くかわして逃れるという意味で使われます。
変わり身
状況に応じて態度や意見をすっかり変えること。「変わり身の早さが出世の鍵を握る」
体を素早く動かして、相手の攻撃をかわすこと。とくに立ち合いで、素早く横に動いて相手をやり過ごすことをいう。そこから、一般に身を転ずる意味で使われるようになりました。
軍配が上がる
勝敗が決まる。「残念ながら、今回は競合他社に軍配が上がったようだ。」
もともと戦国時代の武将が、軍勢を指揮する時に用いたもの。現在は相撲の行司(レフリー)が取り組みを裁くのに使う。東西の力士が対戦した時、行司は勝った力士の方向に軍配を上げることから、一般に「勝利を示す」という意味で使うようになった。「軍配」は「軍配団扇」の略。
独り相撲
誰も相手にしていないのに一人で意気込むこと。「笛吹けど踊らず。あの計画は、結局彼の独り相撲で終わった。」
「独り相撲」は神社の儀式として行われていたもの。精霊を相手に相撲を取るようすを力士が演じる。だれもいないのに一人で相撲を取るようすから、独り相撲という言葉が生まれたようです。近代では猿楽、大道芸としても行われました。
現在に残る独り相撲としては、愛知県の大山祇(おおやまつみ)神社で行われるものが有名です。
四つに組む
互角の戦いをする。「難しい問題だったが、逃げずに四つに組んで考え抜き、見事に解決することができた」
「四つ」は「四つ身」ともいい、互いに両手を上手(うわて)、下手(したて)に差しあってがっちりと組み合っている状態。身体を引いたり、かわしたりせずに、正面からぶつかり合って、この形ができ上ることから、堂々とわたりあう意味で使われるようになりました。
脇が甘い
相手につけ込まれやすい。「彼は人望が厚く、選挙には勝利したが、ややわきが甘くマスコミに攻撃されてしまった。」
四つに組むとき、自分の脇をしっかりと締め付けておかない状態を指して「脇が甘い」といったことから来た言葉。脇があくと相手が腕を差し込みやすくなり、自分に不利な組み手になってしまう。ここから、一般的に防御が万全でない状態の人をこのように言う。
仕切り直し
物事をはじめからやり直すこと。「事態は複雑化して硬直状態だ。一度、仕切り直して最初からやり直した方が近道かもしれないな。」
「仕切り」とは、力士が土俵上で両手をつき、立ち合いの構えをすること。その立ち合いで呼吸が合わず、もう一度仕切りをやり直すことを「仕切り直し」という。そこから転じて一般に最初からやり直すことを言うようになりました。
序の口
物事がはじまったばかりであること。「この程度はまだまだ序の口だよ。」
序ノ口(じょのくち)は、大相撲で用いられる番付の名称の1つ。 6つある番付上の階層(幕内・十両・幕下・三段目・序二段・序ノ口)の内、一番下の地位である。 ただし、さらに下に番付外(前相撲)の力士もいます。
以上、新版日本語「語源」辞典 Gakken、三省堂国語辞典第八版 などを参考にさせていただきました。
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