みんなの日本語(初級1)第11課 教案Tips

みんなの日本語初級第11課

みんなの日本語(初級1)第11課の重要ポイントについて考えましょう。

第10課「います」「あります」+数量詞

第11課については文型自体はとても簡単です。

  • 会議室に テーブルが 7つ あります。①〔文型1〕
  • クラスに 留学生が ひとり います。②
  • 私は パソコンが 3台 あります。③
  • 私は 日本に 1年 います。④〔文型2〕

それぞれ下記の第10課の文型に「数量詞」を加えたものです。

  • あそこに コンビニが あります。①〔文型1〕
  • ロビーに 佐藤さんが います。②〔文型2〕
  • 東京ディズニーランドは 千葉県に あります。③〔文型3〕
  • 家族は ニューヨークに います。④〔文型4〕

この課では数量詞をたくさん導入することになります。基本はテキスト順でよいかと思いますが、まとめは、以下のセットでまとめではいかがでしょう。

人、物、頻度

 人を数える「ひとり、ふたり、…」、物を数える「ひとつ、ふたつ、…」、もう一つ加えるなら、頻度を示す「1回、2回、…」の三つが最重要です。

頻度
人つで数えるもの回数券
ひとりひとついっかい(回)
ふたりふたつにかい
さんにんみっつさんかい
よにんよっつよんかい
ごにんいつつごかい
ろくにんむっつろっかい
ななにん・しちにんななつななかい
はちにんやっつはっかい
きゅうにんここのつきゅうかい
じゅうにんとおじゅっかい
なんにん?いくつ?なんかい?

特殊な読み方になる赤字部分に注意します。

枚、台

物を数える助数詞は実に多いですが、第11課では機械類を数える「台」、薄くて平たいものを数える「枚」を学習します。

台で数えるもの枚で数えるもの
車、機械など平たくて薄いもの
いちだいいちまい
にだいにまい
さんだいさんまい
よんだいよんまい
ごだいごまい
ろくだいろくまい
ななだいななまい
はちだいはちまい
きゅうだいきゅうまい
じゅうだいじゅうまい
なんだい?なんまい?

年、か月、週、日

何時何分の読み方は第4課で学習しましたが、ここでは時間の長さを表す「日、週、か月、年」が登場します。

週間か月
いちにちいっしゅうかんいっかげついちねん
ふつかにしゅうかんにかげつにねん
みっかさんしゅうかんさんかげつさんねん
よっかよんしゅうかんよんかげつよねん
いつかごしゅうかんごかげつごねん
むいかろくしゅうかんろっかげつろくねん
なのかななしゅうかんななかげつななねん、しちねん
ようかはっしゅうかんはちかげつ、はっかげつはちねん
ここのかきゅうしゅうかんきゅうかげつきゅうねん
とおかじゅっしゅうかんじゅっかげつじゅうねん
なんにち?なんしゅうかん?なんかげつ?なんねん?

序数としての「1日、2日…」は学習済みですが、長さとしての「1日」を表す「いちにち」だけが「ついたち」ではなく読みが異なることに注意です。

その他では促音化が必要な「1週間、8週間、10週間、1か月、6か月、10か月」、4の読みかたの特殊な「4年」に注意させます。

以下は先生のための参考記事になります。

〔参考〕「3回」は「さんかい」、「3階」は「さんがい」??

 ものの数え方は日本語の勉強を始めてすぐ出会う難所です。「一本(いっぽん)」「二本(にほん)」「三本(さんぼん)」…と日本人は無意識に言っていますが勉強するほうは大変。

 とくに初級ででてくる「三回」と「三階」、なぜ「さんかい」「さんがい」と違うのか、実は日本人でもよくわからない。

 これについて飯間浩明先生の「日本語はこわくない」におもしろい説明がありました。

 まず大前提として

濁音は時代と共に清音化する
という原則があるそうです。

「3回」「3階」日本人の読み方

 日本語の教科書では「三階」は「さんがい」、「三回」は「さんかい」と読むことになってしますが、実際の日本人の使い方は、多少「ゆらぎ」があるようです。 
 1997年の文化省調査では「三階」を「さんがい」と濁って読む日本人は70%、しかし若い世代の5-60%は「さんかい」と濁らずに読むと答えたそうです。
 つまり時代と共に清音化が進み、おそらく現代ならより多くの人が「さんかい」と清音で読むのに違和感を持たなくなっているだろう、とのことです。
 そして回数の「回」という数量詞は比較的最近になって使われ始めたということです。つまり、「回」は「階」よりも新しい言い方。よって、より新しい清音読みの方が定着したということのようですね。
「3回」は「3階」より新しい、だから濁らない。

「3回」は「3階」より新しい、だから濁らない。

「入獄」(にゅうごく)と「入国」(にゅうこく)

 そう考えると、その他の長年の疑問が解けるかもしれません。例えば「入獄」(にゅうごく)と「入国」(にゅうこく)、「入国」の方が新しい言葉なのでしょう。

入獄

「入国」は「入獄」よりも新しい言葉だから濁らない?

「4階」はなぜ「よんがい」ではなく「よんかい」

 「階」について謎はもう一つあります。「4階」(よんかい)は濁りません。撥音(ん)の後は連濁するのがルールですから、「3階」(さんがい)が濁音化すれば、「4階」(よんかい)も本来は「よんがい」であるべきですが…

 実は「4階」はもともとは「しかい」と読んだそうです。この「し(死)」を忌み言葉として避け、「よん」と読み代えた時、わざわざ「濁音化」せず「よんかい」として定着したのかもしれません。

「4階」は以前は「しかい」と読んでいた

「3000」(さんぜん)と「4000」(よんせん) 

 これも上の「4階」と同じ理屈です。4000はもともと「しせん」と読んだために、「し」を「よん」と変えても濁音化せず残ったのでしょうね。

「4000」はもともと「しせん」と読んだ

 こういう話は先生は知っておいてもいいですが、学生に言うと混乱するかもしれません。ただ「3階」は既出ですからなぜ「3回」と読みが違うのか、質問があれば答えられるようにしたいものです。

以上です。

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