みんなの日本語(初級1)第7課のポイントについてまとめます。第8課は形容詞、形容動詞(イ形容詞、ナ形容詞)の導入となります。
サイタ、サイタ、サクラガサイタ。
- 桜は きれいです。
- 富士山は 高いです。
日本的な、あまりにも日本的な導入例文です。日本語のテキストの導入文としてはこれ以上のものはないでしょう。
さて、表題の「サイタ、サイタ、サクラガサイタ。」というのは戦前の尋常小学校で使われた小学校1年生のテキストの第1課。動詞過去形も習得済みですから、この段階の学習者は理解できます。
学習者に日本の1年生は最初こんなところから勉強すると紹介し、「やっと1年生においつきましたね!」とおだてて自信をもってもらうのも先生の役割でしょうか。
イ形容詞(形容詞)、ナ形容詞(形容動詞)
表にしてポイントを伝えましょう」。
日本語の3文型
第1課で名詞述語文、第6課で動詞述語文、そして今回第8課で形容詞述語文と出てきました。このあたりで日本語の文型について、少し言及しておいた方が良いと思います。
英語は5文型ありますが、日本語は3文型。しかも必須要素は述部のみというシンプルさです。
〔参考〕日本語に主語はいらない
「私はミラーです」を前項のように縦に並べて書くのは理由があります。みんなの日本語ではまだ、主格の「が」が出てきません。「が」は次の第9課で「~は…が…」の構文で「私はイタリア料理が好きです」のような形式で導入されるため、学習者は「は」と「が」の違いは?というような疑問が持ちにくくなっています。
このことが、あとあと作文などで「は」「が」の使い方がよくわからないという問題にもつながってくると思いますので、第8課とは言いませんが、ここから9課10課あたりのタイミングで、主格の「が」、とりたての「は」をイメージしてもらうのもいいかと思います。
「主格」=「主語」は必須成分ではない
以下のように提示します。
「動詞述語文」たる上の表現は、文成分の中で動詞の「行きます」だけが必須成分であって、「私」「上海」「バス」「友だち」「24日」などの各種の格は「必要に応じて」言えばよく、「上海へ行きます。」「バスで行きます。」「24日に友だちと行きます。」は「完全」な文であり、英語のように「主語を省略している」と考える必要はない、ということです。
しかし、第5課の段階までは、とりたて助詞「は」しか使われておらず「見た目主語のよう」に扱っても違和感はない、というだけのことです。
「とりたて」のイメージを示す
「とりたて」のイメージは以下のように提示すればどうでしょう。
「上海」を「とりたて」るなら次のようになりますね。
「とりたて」はテキストではずっと後に教えることになってしまいますから、早めのどこかのポイントで伝えておいた方がいいでしょう。
このあたり、日本語の本質のような部分ですから、よく理解した上で教えていきたいものです。
以上です。
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