みんなの日本語(初級1)第3課 教案Tips

「みんなの日本語」(初級1)第3課のポイントをまとめます。

みんなの日本語(初級)第3課の導入項目

みんなの日本語(初級)第3課で学ぶ主なことは、場所を表す指示代名詞「ここ、そこ、あそこ、どこ」、方向を表す指示代名詞「こちら、そちら、あちら、どちら」の使い方です。

場所「ここ、そこ、あそこ、どこ」、方向「こちら、そちら、あちら、どちら」

場所「ここ、そこ、あそこ、どこ」、方向「こちら、そちら、あちら、どちら」

  • ここは食堂です。
  • エレベーターはあそこです。

 第3課で「これ、それ、あれ、どれ」「ここ、そこ、あそこ、どこ」を学習しているので、比較的簡単に理解できるのではないでしょうか。

「こ」、「そ」、「あ」の概念は確認しつつ再練習

「ここ」「そこ」「あそこ」

  • 「ここ」は、私のコントロール領域
  • 「そこ」は、あなたのコントロールできる領域
  • 「あそこ」は、私もあなたもコントロールできない領域

 でしたね。

第3課の隠された重要ポイント

 さて、私が思う第3課の難所、つまりもっとも大切なポイントは日本語という言葉の勉強を始めた外国人に次のことを感じ取ってもらうことです。それは、

日本語は、話す相手に応じて言い方を変えなければならない場合が、比較的多い

ということです。練習問題の穴埋めでは、

  • ミラーさんは(どこ)ですか。
  • ミラーさんは(どちら)ですか。

 はどちらも正解であり、また「どちら」を使った方が、よりていねいな言い方であることを理解してもらうことが必要です。

「こちら」「そちら」「あちら」「どちら」は方向を示し、また人や物を指すときのよりていねいな指示詞になる
 ということですね。以下のイメージをジェスチャーで示すだけでよいかもしれません。
「この人は…」と「こちらは…」の違い

みんなの日本語初級第1課から第3課にでてくる待遇表現

 この段階で少し前に戻って、「普通の言い方、よりていねいな言い方」があることを確認しましょう。

第1課の待遇表現

  • 佐藤さん、こちら は マイク・ミラーさんです。
  • (佐藤さん、この人 は マイク・ミラーさんです。)
  • あのどなた ですか。
  • (あの ですか。)

第2課の待遇表現

 上記の、第1課の 練習Aに出てくる「あの方は どなたですか。」に続いて、第2課では「会話」部分にいきなり

・「はい。どなたですか。」

・「408のサントスです。」

 というのが出てきますね。これについても「どなた」というのが、今はなき「こなた、そなた、あなた、どなた」というシリーズの一つであり、ついでに既によく知っている「You」を表す「あなた」も実は指示代名詞由来の人称代名詞なのだということを感じ取っていただくと、「日本語っておもしろい!」と感じてもらえるかもしれませんね。

第3課の待遇表現

 「こちら、そちら、あちら、どちら」以外に、

    • 〔お〕国はどちらですか。

これまでも「お名前」(第1課)「お土産」(第2課)など言葉を美化する接頭辞「お」が出てきていました。この機会にまとめて「お」の役割を示しておくのもよいでしょう。

トイレ?、お手洗い?

 みんなの日本語第3課では「トイレ」「お手洗い」と二つの言い方が出てきます。「トイレ」は例文に出てくるので、こちらが優先という筆者の意図だと思いますが、最近は「お手洗い」の方が一般的ではないかと思います。

 Toiletの言い方は「厠(かわや)」→「便所」→「WC」→「トイレ」→「お手洗い」→「化粧室」という具合に時代と共により遠まわしな言い方が生み出されているようですが、今は「お手洗い」が無難ですね。

トイレ、お手洗い、化粧室

 もちろん、敬語はずっと後に学習する日本語学習の最後の難所といってもよい部分ですが、相手によって言い方を変える必要が多いというのは、日本語の大切な特徴でもあるので、今の段階で学習者に少し認識していだだく、というのが私の採ってきた方法です。

「すみません」の意味について

 もう一つ、「会話」部分に「すみません」という言葉が出てきます、

・すみません。ワイン売り場は どこですか。
 余裕があれば、「すみません」の三つの意味についても紹介しておくのもよいでしょう。
 みんなの日本語中に出てくる「すみません」の意味については、以下の記事をご参照ください。

 

 

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