「横たわる」「寝そべる」「寝転ぶ」「寝転がる」の違いについて

「横たわる」「寝そべる」「寝転ぶ」「寝転がる」の違いについて考えてみましょう。

「横たわる」と「寝そべる」の違い

 「横たわる」は主に身体などが文字通り「横」になるという動きを表し、最も適用範囲が広い言葉ではないかと考えます。

 「寝そべる」というのはネイティブでも地域差があるのでしょうか。実は私自身、横になる姿勢はすべて「寝そべる」(?)と言えると思っていたのですが、念のため辞書を調べると、

寝そべるの語義

 基本的に「腹ばいになる」こと。「ごろっと横になる」「からだを伸ばす」などで、多少仰向けも許容しているようなのが「広辞苑」と「新解」。三省堂国語辞典では「腹ばいになってねる」と断言しています。

 実際の用法は別として、語義的には「腹ばいにねる」のが「寝そべる」の示す姿勢のようです。

 これに対して「横たわる」は姿勢を規定しないとはいうものの、どうも「腹ばい」ではないようなイメージがあります。

病気だからといって、ベッドに横たわってばかりではつまらない。
 といえば、やはり天井を向いて寝ることを意味するような気がします。(きちんと正式に横なる、つまり仰向けに寝るという意味合いですね)
 以下のように図示してみました。
「横たわる」と「寝そべる」の意味領域

「横たわる」と「寝そべる」の意味領域

「横たわる」は基本オールマイティ、しかし「仰向けvsうつ伏せ」スケール、「きっちりvsだらしない」スケールでは上の方の領域が強い。「寝そべる」はうつ伏せから横向きまでで、仰向けは基本意味しない。「きっちりvsだらしない」スケールでは下の方を示す傾向がある。

「寝転ぶ」と「寝転がる」の違い

 この二つもどちらも使える場合の方が多いような気がします。ただ違いはやはり「転ぶ」と「転がる」の違いに起因するものではないでしょうか。

転ぶ:通常意思とかかわりなく「転ぶ」が、意図的に「転ぶ」ことも可能
転がる:意思とはまったく関係なく「転がる」ものは「転がる」
 上のような違いから「寝転ぶ」の方は「何か目的をもって横になる」動作を表すときに親和性が高いようです。
寝転んで自動車の下に入り、修理する。
 「寝転ぶ」「寝転がる」は用法の重なる部分が多いものの、「目的をもって横なる」「目的なく横になる」というスケール上で違いが生まれてくるようです。以下に、先ほどの図に重ねて意味領域を示します。
「横たわる」「寝そべる」「寝ころぶ」「寝ころがる」の意味領域

「横たわる」「寝そべる」「寝ころぶ」「寝ころがる」の意味領域

「寝ころぶ」「寝ころがる」は姿勢は問わない。違いは「目的が有って横になるvs目的なく横になる」スケールで、目的がある方に「寝ころぶ」が使いやすい。「寝ころがる」の方は「目的なく横になる」ということから「怠けている」感じが出やすい。
 

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