あるみかんのうえにあるみかん(駄洒落と押韻)

あいう

日本語の拍

 日本語は拍は110ちょっとあります。(その言葉を話す人が言葉を分割できる最小単位を「拍(はく)」といいます。「東京」なら「と」「う」「きょ」「う」で4拍となります。)ちなみに中国語の拍は400以上、英語は数万と言われます。母音の数も「あいうえお」の5つだけですから、日本語と言うのは世界の他の主要言語に比べて音の数が極めて少ない言葉なのです。

 結果、同音異義語が多くなりますが洒落言葉、掛け言葉も作りやすくなります。

オヤジギャグ

オヤジギャグ(画像はLINE Storeからお借りしました)

しゃれ言葉と韻

ファミリーマートとセブンイレブン

 「あなたと コンビニ ファミリーマート♪」「セブン イレブン いい気分♪」日本の三大コンビニファミリーマート、セブンイレブンの宣伝用キャッチコピーです。(ちなみにもう一つの「ローソン」は「開いてます、あなたのローソン♪」宣伝コピーはそれぞれメロディーがついています。)

Family mart & Seven Eleven

Family mart & Seven Eleven

「あなたとコンビニ」は文字通りの「あなたとコンビニ」という意味の他に「あなたとコンビ(combi〔conbination〕) になりましょう」という二つの意味をかけています。こういうのを「しゃれ言葉」俗っぽく「ダジャレ(駄洒落)」と言います。

「セブン イレブン いい気分♪」の方は3つの言葉の末尾がすべて「bun」で終わっています。これを「韻を踏む」特に言葉の末尾なので「脚韻を踏む」といいます。

あるみかんのうえにあるみかん

「あるみかんのうえにあるみかん」というよく知られた「ダジャレ」言葉があります。四つの意味にとれます。

  • アルミ缶の上に在る蜜柑
  • アルミ缶の上にアルミ缶
  • 或る蜜柑の上にアルミ缶
  • 或る蜜柑の上に在る蜜柑

「或る」は不特定の「むかしむかし或るところに…」の「或る」、「在る」は存在の「在る」ですね。

あるみかんのうえにあるみかん

あるみかんのうえにあるみかん

 ちなみに4つの文はアクセントで言い分け、聞き分けることが可能です。

アルミ缶と熱いパンを待つ時間

熱いパンを待つ時間

熱いパンを待つ時間

「アルミ缶と熱いパンを待つ時間」というと、何となくリズムが良いですが何が、そのリズムを作り出しているかちょっとわかりにくいです。が、ローマ字表記にしてみると

  • アルミ缶 と 熱いパン を 待つ時間
  • ARUMIKAN TO ATSUIPAN WO MATSUJIKAN

母音のつながりがすべて「A‐U‐I‐A(N)」で共通しています。

「韻を踏む」というと、頭を合わせる頭韻、末尾を合わせる脚韻の他にこのように「母音+N」をできるだけ多く合わせる韻の踏み方もあるのです。これは母音がAIUEOの5つしかない日本語に特徴的な押韻(おういん)方法と言えす。

日本語ラップにおける韻

ラッパー

ラッパー

 日本語ラップで韻を踏むというのも、基本的にこの母音をできるだけ多く合わせてリズムを作っていくタイプのものです。

  • 前人未踏 エンジン始動
  • ZENJINMITOU ENJINSHIDOU

単語の切れ目を越えて合わせる例もある

  • (テレビで見た) 高性能ロボット、(私も起動しなきゃ)「せーの、動こっと」
  • KOUSEINOU  ROBOTTO、SEINO  UGOKOTT
  • (いつも お母さん) に ありがとう、(昔みたい に) しない 罵倒
  • NI ARIGATOU 、 SHINAI BATOU

英語と韻を踏む場合もあります。

  • Birthday(バースデー):待つぜ
  • It’s not over(イッツ ノット オーバー):静まろうが
  • Get money(ゲット マネー):蹴っ飛ばせ

サンドウィッチマン 聞き間違いギャグ

 漫才(中国の相声に当たる芸能)でも韻を踏むタイプのギャグが多く見られます。なかでも人気漫才コンビ「サンドウィッチマン」の聞き間違いギャグの中には名作が多いです。
サンドウィッチマン

サンドウィッチマン

  • 責任者出せ(SEKININNSHA DASE)
  • 先に医者出せ(SEKININNSHA DASE)
  • 注文の方繰り返します。(CHUMON NO HOU KURIKAESHIMASU )
  • 厨房の方振り返ります。(CHUUBOU NO HOU FURIKAERIMASU)
  • 何名様でお越しですか。(NANMEISAMASDE OKOSHIDESUKA)
  • 南米風の神輿ですか。(NANBEIFUNO MIKOSHI DESUKA)

以上、音の数が少ない日本語ならではの言葉の遊びの数々でした。

 

 

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