「いつも」と「常に」
「いつも」と「常に」はほぼ同じ意味で用いられます。
- 健康にはいつも注意を払っている。
- 健康には常に注意を払っている。
- 北極はいつも寒い。
- 北極は常に寒い。
共に対象に対して「すべての時間において」ということを表し、「常に」の方が少し改まった感覚があります。そしてそれ以外にちょっとしたニュアンス上の違いがあります。例えば
- ○ あの人はいつもニコニコ笑っている。(Ⅰ)
- △ あの人は常にニコニコ笑っている。(Ⅱ)
(Ⅰ)の「いつもニコニコ」は違和感がありませんが、(Ⅱ)の「常にニコニコ」だと、ニコニコすべきでない時も笑っているような印象を与え、ちょっと変な人?という勘繰りをする人もあるかもしれません。
これは「いつも」より「常に」の方が表す時間が長い、ということではなく、
「いつも」は”話者が意識する任意の時間帯”におけるすべての時間
を示す傾向が強いからと言えます。例として
- 授業が始まるといつも眠くなる。
- 授業が終わるといつも食堂へ急ぐ。
- 李さんは電話するといつも話し中だ。
- 張さんはいつもスマホをいじっている。
言い換えると、
「常に」の中で ”話者が主観的に意識する時間帯すべて”=「いつも」
ということです。
比較例
「おばけがいる」という状況を「いつも」と「常に」で表す場合を考えましょう。
「~と」いつもおばけがいる
「いつもおばけがいる」は話者が認識する状況によって「夜になると~」「私が通ると~」などの限定を加えて方がしっくりします。
常におばけがいる
「常に」おばけがいる、というと話者が認識しない時間も含めてすべての時間という意味になります。
以上、違いをあらわす基礎日本語辞典 森田良行著 角川ソフィア文庫、使い方の分かる類語例解辞典 小学館 などを参考にさせていただきました。
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