「すみません」の意味は?(「みんなの日本語」から)

すみません

 日本人がとても良く使う「すみません」という言葉。今回は「すみません」について、標準テキスト「みんなの日本語」での導入順に従って、その意味するところをおさらいしましょう。

みんなの日本語「はじめに」で学ぶ「すみません」

 みんなの日本語では第1課に入る前のいわばオリエンテーションに当たる部分「毎日のあいさつと会話表現」の中で「すみません」が出てきます。

1おはよう ございます。
2こんにちは。
3こんばんは。
4お休みなさい。
5さようなら。
6ありがとう ございます。
7すみません。
8お願いします。

 学習者が初めて接する「すみません」は”Excuse me ”つまり相手の注意を引く言葉として学習したはずです。

みんなの日本語第3課で学ぶ「すみません」

 さて実際の課文に入ってからは第3課で「すみません」が出てきます。

  • 店員A: いらっしゃいませ。ワイン
  • マリア: すみません。ワイン売り場は どこですか。
  • 店員A : 地下一階です。
  • マリア: どうも
  • マリア: すみません。その ワインを 見せて ください。
  • 店員B : はい、どうぞ。
すみません=Excuse me

すみません=Excuse me

 第3課での「すみません」の意味も、”Excuse me”です。

 また、上記会話文の中の青字の「どうも」は”Thank you” 「ありがとう」の意味で使っています。これは、第2課で「どうも ありがとうございます」が初出し、「ありがとう」の強調として「どうもありがとう」。ここから「ありがとう」が省略されたものとして理解される仕組みになっています。

「どうも」=「どうも(ありがとう)」
「どうも」については以下記事を参考にしてください。

みんなの日本語第10課で学ぶ「すみません」

 次に「すみません」が出てくるのは第10課です。

  • ミラー:すみません。アジアストアは どこですか。
  • 女の人:アジアストアですか。あそこに 白い ビルが ありますね。あの ビルの 中です。
  • ミラー:そうですか。どうも すみません
  • 女の人:いいえ。
すみません=Thank you

すみません=Thank you

この段階になって初めて「すみません」が ”Excuse me” 以外の意味で使われることが示されます。ここでの「すみません」は ”Thank you” 「ありがとう」という意味。そして「どうも すみません」で ”Thank you very much.” の意味になります。

 「どうも すみません」は、先程の第2課での「どうも ありがとう ございます」の少し口語的な言い方として理解しましょう。

みんなの日本語第15課で学ぶ「すみません」

 そして第15課になって初めて「すみません」を謝罪の意味で使う例が示されます。

  • この 辞書を 借りても いいですか。
  • すみません、ちょっと……。今、使って います。

 ここでの「すみません」は ”I’m sorry, but ……” と相手の期待にそえなくて申し訳ないという気分を表す「すみません」です。

「すみません」の意味(まとめ)

 「すみません」の原義は「済まない」→”I’m sorry” という意味なのですが、学習者が最初から、「すみません」=”I’m sorry”であると理解してしまうと、日本人が日常会話でよく使う「すみません」に、

日本人は どうしてあやまってばかりいるのだろう?
 という感想をもってしまう外国の方が多くなるのですが、実際に日本人の使う「すみません」は謝罪のつもりではない場合がほとんど。
 上のような誤解を避けるためにも、「みんなの日本語」のような日本語テキストは、意味の導入順が実際に使われる頻度の高い順に導入されるのです。
 「すみません」の意味は3つ、頻度順に”Excuse me”、”Thank you”、”I’m sorry” だと覚えておきましょう。
Excuse me, Thank you, I'm sorry

Excuse me, Thank you, I’m sorry

 ちなみに”I’m sorry” という意味を表す最も適切な日本語は、

申しわけございません
が良いのではないかと、私は思います。
(以上、みんなの日本語初級Ⅰ第2版 スリーエーネットワーク社刊などを参考にさせていただきました)
 

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