名詞修飾に関する「さんま問題」
名詞修飾に関する有名な例文が表題の「さんまを焼く男」と「さんまを焼くにおい」です。形は似ていますが、修飾される名詞と修飾語の関係が少し違うようです。
さんまを焼く男 | さんまを焼くところの男(限定) |
さんまを焼くにおい | さんまを焼くというにおい(同格) |
「~ところの…」「~という…」という表現をすると英語で関係詞や同格の言い方を勉強した時のことを思い出します。
さんまを焼く男 | Man grilling saury. |
さんまを焼くにおい | The smell of grilling saury. |
「さんまを焼く男」は被修飾語の「男」が修飾語の各成分に入れることができる、つまり「男がさんまを焼く」と言えるのですが、「さんまを焼くにおい」は被修飾語の「におい」は「さんまを焼く」に格成分として入れられません。
このことから「さんまを焼く男」は「内の関係」、「さんまを焼くにおい」は「外の関係」の名詞修飾と言います。
さんまを焼く男 | 男がさんまを焼く 〇 | 内の関係 |
さんまを焼くにおい | においがさんまを焼く?? | 外の関係 |
以上まとめると
「内の関係」「外の関係」の例
いくつか例を挙げておきます。
- 彼が座ったベンチに腰掛けた。〔彼がベンチに座った〕【内の関係】
- 彼が座ったとなりに腰掛けた。【外の関係】
- 休日出勤した張さんは代休がもらえる。〔張さんが休日出勤した〕【内の関係】
- 休日出勤した分は代休がもらえる。【外の関係】
- 王さんと出会った喫茶店を今でも覚えている。〔王さんと喫茶店で出会った〕【内の関係】
- 王さんと出会った日を今でも覚えている。【外の関係】
英語話者は注意
ざっくり言って英語に直す時「内の関係」の名詞修飾は「関係代名詞あるいは関係副詞を用いる関係節」に、「外の関係」の名詞修飾は同格のthat節でつなげる文型にすればよいようです。
既婚である女性(内の関係):I fell in love with a woman who was already married.(私は既婚である女性と恋に落ちた。)
既婚である事実(外の関係):She hid the fact that she was already married.(彼女は既婚である事実を隠した。)
実は中国語ネイティブの学習者は、この「内外の関係」をまったく意識する必要がありません。限定、同格共に日本語と同じ形式で表現できるからですね。
さんまを焼く男 | 烤秋刀鱼的男人 |
さんまを焼くにおい | 烤秋刀鱼的香味儿 |
以上、ふしぎ発見!日本語文法(三弥井書店)、初級を教える人のための日本語文法ハンドブック(3Mネットワーク)などを参考にさせていただきました。
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