「~と会う」と「~に会う」の違い
「友だちと会う」「友だちに会う」はどちらも使いますし、日本人もあまり意識して「と」「に」の使い分けはしていないようです。
しかし
- 昨夜、六本木で石原さとみと会った。△
- 昨夜、六本木で石原さとみに会った。〇
を比べると、上の「と」だと少し違和感が生まれます。誤解のない言い方は
- 昨夜、六本木で石原さとみを見た。〇
になるはずです。つまり「と」を使うと”お互いに会うつもりであった”という双方向の動作であることが暗示されるのに対し、「に」だと”一方的”な動作である場合が多いのです。
六本木で石原さとみさんと会えるような身分になってみたいですが、まあ私は無理ですね。
動詞にも双方向と一方向があります
「会う」だと「双方向」「一方向」とちらも場合も使えますが、双方向、一方向のいずれかにしか使えない動詞もあるので注意が必要です。
双方向つまり「と」しか使えない動詞
〇 ~と結婚する | × ~に結婚する |
〇 ~と喧嘩する | × ~に喧嘩する |
〇 ~と友だちになる | × ~に友だちになる |
〇 ~とテニスをする | × ~にテニスをする |
この「双方向性を持つ動詞」は「~といっしょに結婚する」という風に「~といっしょに」(一起·)で修飾できないことを別記事で解説しました。
一方向つまり「に」しか使えない動詞
逆に「に」しか使えない動詞もあります。
× ~と渡す | 〇 ~に渡す |
× ~とプロポーズする | 〇 ~にプロポーズする |
× ~とあげる | 〇 ~にあげる |
× ~と教える | 〇 ~に教える |
子は親に似る
次のような例で理解を深めましょう。
- 〇 あの子はお母さんにそっくりですね。
- × あのお母さんは子どもにそっくりですね。
「似る」というのも「~に似る」と一方向性をつける言い方にすると、後から生まれた方が親に似るという時間的方向性を正しく表すのは「子が親に似る」が正しいことになります。
(以上、「なにげにてごわい日本語」(すばる舎)を参考にさせていただきました。)
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