「残る(のこる)」と「余る(あまる)」の違いについて考えましょう。
「残る」?「余る」?
まずは問題です。「残る」または「余る」のどちらかを活用させて入れてください。
- ( )問題を整理しよう。
- この仕事は手に( )。
- 手術の後が( )いる。
- 30を7で割ると4( )2になる。
- 私は( )ます。みんな逃げてください。
- みんなでタコ焼きを作ったがタコが( )しまった。
回答は順に「残った、余る、残って、余り、残り、余って/残って(どちらも可)」です。
「残る」「余る」辞書の語釈
まず、「残る」「余る」の意味の違いをはっきりさせるために辞書を調べて語釈を比較してみましょう。「新明解」「三国」で調べると以下のように書いてあります。
それぞれの辞書の特徴がよく現れた語釈になっていますね。「新明解」は一見くどいように見えますが、じっくり読むとなるほどと納得できます。「三国」は心にストンと落ちる感じのわかりやすさです。
辞書については下記の記事参照ください ↓
「残る」「余る」違い
しかし辞書の語釈は正確を期すためかえって難しいところもあります。違いをざっくりとまとめると以下のような感じになるでしょうか。
これでもピンとこないかも。
実は絵で描くと直感的に理解できます。
まだ使う可能性があって、そこにあるものが「残り」、使う予定を充足してまだ、そこにあるものが「余り」ということになります。
ですから表題下の計量カップに少し液体の入った状態が、「少し残っています」なのか「少し余っています」なのかは、カップ中にあるものだけでは判断できないのです。
既に使う必要量を満たしているか(「余る」)、そうでないか(「残る」)によって言い方が決まることになります。
問題解説
ここで冒頭の穴埋め問題をもう一度見て整理してみましょう。
- (残った)問題を整理しよう。(問題は引き続きやるので”残り”)
- 手術の跡が(残って)いる。(跡は消えるまでの過程の途中なので”残る”)
- 私は(残り)ます。みんな逃げてください。(本来逃げるべきだが”残る”)
- この仕事は手に(余る)。(もう手は一杯なので”余り”)
- 30を7で割ると4(余り)2になる。(余剰分なので”余り”)
- みんなでタコ焼きを作ったがタコが(余って/残って)しまった。(もう使わないなら”余り”、使う予定なら”残り”)
以上です。
(「違いをあらわす基礎日本語辞典」 森田良行著 などを参考にしました。)
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