日本語の数量詞の中でちょっと紛らわしいものを集めました。
「匹」と「頭」
「犬」「猫」「ハムスター」などの小動物は「匹」、「牛」「虎」「ゾウ」など大きな動物は「頭(とう)」で数えます。では「虎の赤ちゃん」は?
虎の赤ちゃんは「一匹(いっぴき)」と数える人が多いようです。
実は「匹」と「頭」の境目はちょっと曖昧(あいまい)。基準として
大人が抱え上げることができる大きさの動物は「匹」、それより大きいのは「頭」で数える
という風に覚えておけばいいでしょう。
「回」と「度」
「回」か「度」を入れてください。
- 第三( )スピーチ大会。
- 三( )目の正直。(ことわざ)
- 三( )目のワクチンは痛かった。
- 三( )のメシよりアニメが好き。
- ( )を追うごとに上手になっていく。
「回」と「度」は回数を表す数量詞ですが、どちらかしか使えない場合がほとんどです。上の問題では順に「回、度、回、度、回」が正解。
使い分けのルールは
- 次が期待できることは「回」
- 次が期待できない、または期待しなければ「度」
です。ワクチンはとりあえず「三回目」ですが、三度目の正直でぜひコロナ禍が終息してほしいものです。
「人(にん)」「名(めい)」「者(しゃ)」
- 三( )様でご予約うかがっております。
- 三( )様ですとご相席になりますが、よろしいでしょうか?
- 高校では三( )面談で卒業後の進路を相談する。
実際には1つ目、2つ目は共に「名」、3つ目は「者」が使われます。しかし原則から考えると「名、人、者」を正用法とします。原則とは、
- 相手の名前がわかっている人 ⇒ 名
- 相手の名前がわからない人 ⇒ 人
- 各人の役割・機能が異なる人 ⇒ 者
という基準で数量詞を選びます。
「軒」と「戸(こ)」
どちらも家を表す数量詞ですが、
- 赤い屋根の家が三( )並んでいる。
- 台風の影響で1万( )が停電した。
順に「軒、戸」が入ります。つまり
「軒」は建物を指しますが、「戸」はそこに人が住んでいることが必要です
「個」と「つ」
- 理由は二( )あります。
- 冷蔵庫にケーキが二( )あります。
- 心を一( )にしてがんばろう!
- クマの足跡を三( )見つけました。
「つ、個、つ、つ」が好ましい選択です。4番目は個もありかなと思います。
「個」は具体的、目に見えるもの、「つ」は抽象的、目に見えないもの
が原則です。
ただ、「個」も「つ」も使える場合も多いようです。
「論文、ホームラン、収録、電車」を数える数量詞は?
最後は少し問いを変えます。
「論文」、「ホームラン」、「収録数」、「時間当たりの電車数」を数える共通の数量詞は何でしょう?
答えは「本(ほん)」ですね。
これらは全く関連性がないように見えます。「本(ほん)」は本来鉛筆、ロウソクのように長いものを表す数量詞ですが、そこから派生して
長いもの ⇒ 時間の流れに沿って、行われる一続きのもの
を表すようになったということです。
以上、YouTube「ゆる言語学ラジオ」を参考にさせていただきました。
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