「のち(後)」「あと(後)」、「うしろ(後ろ)」の違いについて

晴れのち曇り

「後」の読み方?

 「後」という漢字は訓読みでは「のち」「あと」「うし(ろ)」と三つの読み方がありますね。(音読みは「ご」)

 「後ろ(うしろ)」は空間的な方向、「のち(後)」と「あと(後)」は時間的な方向をしめしますが、この「のち(後)」と「あと(後)」はどう使い分けるでしょう。

「うしろ」は空間的な方向

 「うしろ(後ろ)」は空間の位置を示します。時間的なものとはっきり区別するために「後ろ」と「ろ」を送るのが通例です。

後ろに並ぶ

「あと」より「のち」の方が硬い表現

 まず、「あと」は日常的な言葉、「のち」は少し硬い言葉であるという違いがあります。

「のち」は直後を含まない

 もう一つの違いは、「あと」は、直後を含むが、「のち」は直後を含みません。

「あと(後)」と「のち(後)」意味上の違い

「あと(後)」と「のち(後)」意味上の違い

これは、

  • 〇 すぐあとで来ます
  • × すぐのちに来ます

 という言い方でもわかるように、「のち」はしばらくたたないと使えないようです。

 「晴れのち曇り」という言い方は「晴れ」の後にすぐ「曇り」という感じがするように思うかもしれませんが、実際は「晴れ」が一定時間継続してから、曇りになる、ということですね。

「後」「あと」or「のち」?状況によって読み方も変わる

 ですから、たとえば

  • 「彼が無実だとわかったのは、後のことだった。」という文でも、すぐに無実だとわかったのなら「あと」、かなり経ってからわかったのなら「のち」と読むのが妥当そいうことになります。

(以上、「日本語はこわくない」飯間浩明著 PHP社刊 を参考にさせていただきました。)

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