今日は、古代の「鉄づくり」から生まれた意外な日本語をご紹介します。
日本では5世紀頃から本格的に出雲地方(今の島根県)で鉄づくりが始まりました。「たたら製鉄」です。鉄づくりは日本人の生活を変えました
映画「もののけ姫」(中国名:幽灵公主)では「たたら場」とそこで働く女性たちの姿が描かれていましたね。
「たたら製鉄」では砂鉄をとかすために、人が長時間「ふいご」を踏んで空気を送り続ける必要があるのです。
地団駄を踏む(じだんだをふむ)
「地団駄を踏む」は「地団駄を踏んで悔しがる」のように、「とても悔しがること」という意味ですが、これは「たたら製鉄」で人が「ふいご」を踏んで鉄を作る工程を「じだたらを踏む」と言ったことに由来しています。「じだたら ⇒ じたんだ」と音が変化して「じだんだを踏む」になりました。
つまり、「ふいご」を踏む動作が、悔しがって足を踏み鳴らす人の動作によく似ていることからできた言葉なのです。
また子供が言うことを聞かずにぐずぐずいうことを「駄々をこねる」といいますが、これも「じだたら」から来た言葉だと言われています。
かわりばんこ
口語的な表現ですが。「交代で~する」ことを「かわりばんこに~する」と言います。この表現も「たたら製鉄」から来たもの。
「ふいご」に空気を送る仕事は重労働ですから、交代制でやります。その人達のことを「番子さん」(ばんこさん)と言ったそうです。そこから「代わり番子」(かわりばんこ)という言葉ができたのです。
おしゃかになる
「失敗作ができてしまう」ことを「おしゃかになる」と言います。
実際、古代の人にとって鉄を作るというのは重労働でもあり、高い技術を必要とすることだったようです。だから、しばしば失敗もありました。失敗の原因は主として、火が強すぎるということだったそうです。
お釈迦様の誕生日は4月8日なのですが…
鉄の失敗作ができると、
火が強いと失敗するのです。「火が強かった~。」
失敗を繰り返すうち「ひがつよかった」が「しがつようかだ」になって、
「しがつようか」→「4月8日」といえば「お釈迦様」!
この語源はかなり怪しいですね。
あいづちを打つ
できた鉄を鍛錬して強い鋼を作る時、赤く熱した鉄を叩きます。これは二人以上で行いますから、一方の人が叩いて、もう一方の人が「相槌」を打つことになります。ここから「相手に呼応してうなずいたり、同意したりすること」を「相槌を打つ」というようになりました。
とんちんかん
調子外れのことを言うことを「とんちんかんなことを言う」と言います。
日本刀のような特別強い鋼材を作る時は、3人で赤く熱した鉄を叩きます。このリズムが
トンテンカン、トンテンカン、トンテンカン、トンテンカン、トンテンカン・・・と続きます。
しかしたまに2番目の人が叩き間違えると「テン」の音が「チン!」という調子はずれの音になってしまうのです。
そこから「おまえのいうことはトンチンカンだ。」というような言い方が生まれたそうです。
以上です。
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